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2016年03月の読書メーター [a day in the life]

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『砂上の法廷』 [movie]

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原題:The Whole Truth
監督:コートニー・ハント
出演:キアヌ・リーブス、レニー・ゼルウィガー、ググ・バサ=ロー、ガブリエル・バッソ
製作年: 2016年
製作国:アメリカ
配給:ギャガ
上映時間:94分

上映感は少ないし低予算っぽい風情なのでスルーしてもかまわないのだが、上映時間が短く観客を騙す気満々の映画とみたので有楽町まで出かけることにした。
解説
莫大な資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害され、17歳の息子が容疑者として逮捕された。少年は完全黙秘を続け、敏腕弁護士ラムゼイが少年の弁護を引き受けることに。法廷でも何も語らない少年をよそに、多くの証人たちが少年の有罪を裏付ける証言を重ねていく。やがてラムゼイが、証言のわずかなほころびから証人たちの嘘を見破ると、裁判の流れが変わりはじめる。そんな矢先、少年がついに沈黙を破り、驚くべき告白をする…。
という法廷サスペンスもの。余計なサイドストーリーを排したシンプルな構成は好もしい。説明も過剰ではなく、個々人の証言から事件の状況が観客に示されるというつくりもいい。

本作で一番弱いのは三分の二を過ぎたあたりで真相が推測できること。結末の驚きがないのは、この手の映画では致命的だ。いや、一番驚いたのはレニー・ゼルウィガーの変貌っぷり。エンドロールまで誰だか分らなかったよ。


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郡上八幡に行ってきた [travel]

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当方の目標の一つに「47都道府県に宿泊する」というものがある。昨年の夏に、徳島・香川で四国制覇、福井県での宿泊で北陸制覇を果たした。今回は本州で残っている岐阜県の攻略に向かうことにした。

ちなみに本州に残る未宿泊地は和歌山県のみとなった。が、和歌山県に行く大きな目的であった「南方熊楠記念館」が今年いっぱいは閉館とのこと。達成は来年になりそうだ。

連休の土日を使って行くのだが、ある程度の余裕をもって観光するには早起きしなければ。なので東京駅7時発の新幹線に乗車。
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■今回使用するカメラはCanonのPowerShotG15.優等生カメラだ

■朝から呑む。7時からでも呑む
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 ■妙にそそる名古屋駅の駅きしめん。翌日にわざわざ立ち寄って食べたのだけれど、写真を撮り損ねた…orz ■名古屋駅から東海道線で岐阜駅に移動、その後高山線に乗り継ぎ美濃太田まで 
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■美濃太田駅からは長良川鉄道に乗り換え。この一両編成に一時間と少し乗車するのだ ■東京駅から四時間半かけてやっとこさっとこ郡上八幡駅にたどり着く

郡上八幡駅に到着すると、なぜか腹が減っている。そりゃ朝5時ころから起きていて、11時過ぎだもんな。駅から中心部に向かう道の「魚寅」さんにお邪魔することにした。


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■当方はうな丼(小)を注文

■配偶者は白焼きの丼を注文
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■まずは「やなか水のこみち」である。当方の郡上八幡のイメージはここ。■郡上八幡旧庁舎記念館は御土産物や軽食もとれるようになっている

吉田川にかかる宮ケ瀬橋を渡って中心部に行ってみる。

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■童地蔵とのことだが当方とは関係ない

■水車のようなものを発見

あとは古い街並みを堪能。

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そろそろ移動の時間。その前に少し休憩。「カフェ・町家さいとう」に伺う。

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それでは、バスで飛騨高山に移動することにしよう。



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Nexus5Xがやってきた [gadget]

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半年ごとにスマートフォンを変えたくなるという悪い癖がある。これ以前に使用してきた機種はSONYのXperia Z1 Compact(D5503)で、サイズや性能に不満はなかった。OSもAndroid5.0までアップグレードしてくれているし。確か1shopmobileで個人輸入したものだ。

さてNexus5Xだが初めてexpansysを利用して購入した。購入に踏み切ったのはGoogleStoreと比較して安かったから。とりあえず本体価格は32GB版で4万円を切っているのである。売れ行きが芳しくなく投げ売りモードに入りかけてるのだろうか。

対応するSIMはnano-SIMだが、Surface3で使用しているnano-SIMを取り外して使用することにした。そう、いわゆる格安SIM回線を3回線持っちゃっているのである…orz

そんなわけでまずは開封の儀から。

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■いまどきとしては比較的大きな箱である

■帯のような外装をずらすとシンプルな箱
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 ■いろいろ入っているが、取り出すのは本体とACアダプタとSIM外し用のピンのみ■輸入ものなので、ACアダプタは海外仕様。expansysさんは日本仕様のアタッチメントをつけてくれた。ただしでかくなり持ち運びには不利 

■質感について
各位のレビューを拝見していると、プラスチック感は拭えないという感想が目立つ。ところが当方が手にしたところでは決してペラペラ感はなく、むしろ稠密感があり安っぽさは感じられない。マットな塗装は昔日のThinkPadを思わせ心地よい。

■Nexus5Xの良いところ
  1. 余計なソフトがインストールされていない。これがNexus5Xを選んだ最大の理由。SIMフリー機を輸入しても他のメーカの場合は独自のランチャやらソフトが載っていて気持ちが悪い。その点、本機はピュアなAndroid OSが使えるところがいい。
  2. 上記と関連するが、最新のOSが配信されやすい。以前、Nexus5を持っていたが配偶者に強奪された貸与している。最新OSが発表後にすぐに配信されたのがうらやましかったのだ。
  3. 指紋認証が使いやすい。指を触れるだけで認証されるのは便利。特にその位置が秀逸で、背面部分にあるのは使いやすい。
■Nexus5Xのいまいちななところ
  1. デザインが無骨で愛想がない。
  2. 充電端子がUSB Type-Cであること。現有資産であるMicro USBケーブルを使うにはアタッチメント購入など余計な費用が発生する。裏表を気にせず刺せるのは便利だけど。
  3. MicroSDが使えないのはやっぱり心許ない。データはクラウドで管理せよ、とのメッセージなんだろうね。
■今どきのスマートフォン全般にいえるいまいちなところ
  1. 画面でかすぎ。当方の手は大きいほうだが、それでも画面の左上には届かない。Nexusシリーズでも4.7インチ画面くらいのものを発売してくれないか。
  2. ストラップホールがない。ケースを付けたって液晶画面から落とせば割れる可能性は高いだろう。各メーカともぜひ対応をお願いしたい。
  3. どんなに注意して使ってもバッテリが2日以上はもたない。もっと厚く重くなっても構わないので5日くらいバッテリの持つスマートフォンがあれば当方は買う(と思う)。
総じて使い勝手がいいスマートフォンといえる。持っていて「おっ」と思われるような華はないが、実用性重視・シンプルなOSを求めるようであれば今は買いだと思う。

小野不由美:『残穢』(新潮社) [book]


残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: 文庫


内容(「BOOK」データベースより)
この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが―山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
基本的には「読んでから観る」派なのだが、本作は映画鑑賞後の読了ということになる。映画版は雰囲気も含めてかなり原作に忠実なものだった、というのが感想。いや、久保さんは30代の編集兼ライターという設定ではあるのだが。

ドキュメンタリタッチの手法は、ホラー小説では今まであったようでいてないもので、そこに新しさはある。切れかかった糸を丹念にたどり紐解くという主人公たちの行動にスリルがあるのだ。なので、ホラー小説かといわれるとそれほど怖くはない。

おそらくは著者の実生活や実在の作家たちが登場する場面など、虚実ないまぜでリアリティを追及するところは映画版より優れていると感じた。だから「読んでから観る」ほうが愉しめるし、そうなると映画版は少し物足りなくなるかも。

◎関連記事
『残穢』
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月村了衛:『ガンルージュ』(文藝春秋) [book]


ガンルージュ

ガンルージュ

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: 単行本


「あたしたち、最強の相棒。」

韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。
迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!?
読むマンガである。だから、「機龍警察」シリーズを期待する人には不満があるかもしれないが、当方は愉しめた。元公安の主婦とロックミュージシャンあがりの中学の女性体育教師のバディもの。この設定からしてリアリティを期待してはいけないのだ。

だいたいが、〇〇〇〇〇の〇を〇〇〇で〇〇〇すなんてありえないから大笑いしてしまう(ネタバレにつき伏字対応)。この著者にこういったコメディ成分があるとは意外な驚きである。重苦しい小説だけでは胃もたれしてしまう。3時間程度で読める上に愉しませてくれる作品だ。

◎関連エントリ
月村了衛:『機龍警察』(早川書房)
月村了衛:『機龍警察 自爆条項』(早川書房)


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『マジカルガール』 [movie]

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原題:Magical Girl
監督:カルロス・ベルムト
出演:バルバラ・レニー、ルシア・ポシャン、ホセ・サクリスタン、ルイス・ベルメホ
製作年: 2014年
製作国:スペイン
配給:ビターズ・エンド
上映時間:127分

いまテアトルシネマが熱い。三週続けてのヒューマントラストシネマである。今日は有楽町だが。予告編を見る限りではこれからも期待できる作品が続きそうである。
解説
白血病で余命わずかな少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。ユキコのコスチュームを着て踊りたいというアリシアの夢をかなえるため、失業中の父ルイスは高額なコスチュームを手に入れようと決意する。しかし、そんなルイスの行動が、心に闇を抱えた女性バルバラやワケありな元教師ダミアンらを巻き込み、事態は思わぬ方向へと転じていく。
これはまた、鑑賞後にいやな気分になる映画だ。なんとも救いがない。ハリウッドはもちろん、日本でもこのようなストーリーの映画は作られないに違いない。当方はミヒャエル・ハネケの作品を想起した。

当方が興味深く感じたのは、多くを語られない細部。バルバラの仕事とは、あるいはダミアンはなぜ刑務所に入っていたのか。そういったことは観客には全く説明されない。もちろん、それが効果を上げているのだが。観て損する映画ではないが、なかなか評するに難い。精神的に参ってるときには避けたほうがいいかも。



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「ライティング基礎講座」に行ってきた [a day in the life]

正式な講座名は「もう文章を書くのがイヤだなんて言わせない!たった20分でエッセイが書けるライティング基礎講座」だ。文章を書くのはあまり得意ではないので、こういった講座で学ぶことも必要と思い立ったのだった。

Peatixというチケット販売サイト(?)に登録しているのだが、そこから「あなたにおすすめ」とサジェッションされたのがきっかけ。3,000円ならためしに行くのも悪くはない、と。

結論から申し上げると、参加して良かったというところ。当方が学んだのは、まずは書かなきゃはじまらないということ。講座名は「20分でエッセイが書ける」とあるが正確には教室で20分で書かされました(笑) 20分でも集中すれば何かしら書けるものだ。

あと、文章は短めがいいということ。当方もワンセンテンスが長くなりがちなので自戒したい。文章を読んでもらうことはサービスである、と先生はおっしゃっていた。なるほどである。

今回の講座の発展系が開催されるようであれば参加したい。



水野和夫:『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社) [book]


資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

  • 作者: 水野 和夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: 新書


今週の10日に著者の講演会に行く予定。そのための予習として本書を手に取る。薄手の新書なのであっという間に読めてしまった。
内容(「BOOK」データベースより)
資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。五〇〇年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは? 異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書!
本書を乱暴に要約してしまうと、資本主義社会における「成長」は地理的に拡大することで新しい供給元や需要先を見つけることで可能だった。しかし、グローバリゼーションが進み新たなフロンティアがなくなった今、「成長」は困難になっている。それを覚った米国は「成長」を金融市場に求め、一時はそれを謳歌するも、結果としてはリーマンショックを招来する羽目になった。

新たなフロンティアはなく、金融市場にもバブル崩壊というリスクがある以上、資本主義における「成長戦略」は無理筋である。資本主義に代わる新たな仕組みを考え出す局面にある。といったところか。

その論旨には当方も同意できる。先日観た『マネーショート』に印象的なシーンがあった。金融派生商品を説明するものだ。ブラックジャックで賭けている二人を見る人が、どちらが勝つかを賭ける。さらに、その賭けをしている人のどちらが勝つかを…。と、ちょっと理解が違うかもしれないけれど無限連鎖講みたいなもので、誰が最後にババを引くかということである。無限の成長には、無限のカモが必要、と乱暴に言ってしまおう。

平たく言うと、著者は新たな「周辺」がない現在、資本主義による「成長」は無限に続かない、ということを言っているのだ。ではどうしたらいいか。そのことについて、著者もまた明確な解答は持っていない。そりゃあ、何百年も続いているシステムの後釜を個人が想像/創造できるはずがない。

当方個人としては、少なくとも「成長」が不可能となった社会でどのようにサバイバルするか、少しづつ夢想していくしかない、と思っている。


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A・E・ヴァン・ヴォークト:『非Aの世界』(東京創元社) [book]


非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

  • 作者: A・E・ヴァン・ヴォークト
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
いままさに“機械”によるゲームが始まろうとしていた。成績優秀者には政府の要職が、優勝者には金星行きの資格があたえられる。ギルバート・ゴッセンもこれに参加するべく“機械”市へやってきたが、奇妙な事実が判明する。彼はまちがった記憶を植えつけられていたのだ。自分はいったい何者なのか。ゴッセンの探索が始まるが、背後では銀河系規模の陰謀が進行していた。歴史的傑作。
ははは。わかんないや。自分の記憶とは異なる世界に放り出された男という発端も今となってはありふれたもので新鮮味はない。主人公のギルバート・ゴッセンは、行き当たりばったりに行動するばかり。「一般意味論」という学説(?)がどういうものなのかもわからないので、本書をどのように読み解いていいのかわからない。

と、文句ばかりだが、このとっちらかり感というかおもちゃ箱をひっくり返したようなめちゃくちゃさは特筆していいと思う。金星のテラフォーミングの乱暴さとか、唐突に登場する銀河連盟みたいな(いい意味での)バカさ加減は愉しめた。

今となっては古いと言わざるを得ない物語なので、読むとしたらSFのオールドファンで読み逃していた人限定か。



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『マネー・ショート』 [movie]

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原題:The Big Short
監督:アダム・マッケイ
原作:マイケル・ルイス
出演:クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット
製作年: 2015年
製作国:アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
上映時間:118分

当方は株式や債券等の投資の類は一切やっていない。ああいったものは素人が手を出してはいけないものだと思っている。だから直接的には株価の上下に一喜一憂しない平和な生活を送れている。簡単に儲けることなんてできないのだから。
解説
05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。
本書の原作である『世紀の空売り』は当方が読んでもおもしろい金融系ノンフィクションだった。だから相応に期待をして鑑賞したのだが、そこは裏切られなかったといっておこう。ただし、逆に原作を読んでいたからわかる、ということは多い。そもそものサブプライムローンから、それを債権化するとはどういうことなのかなど、一定の知識が必要である。

あと、ライアン・ゴズリング演じるドイツ銀行の行員が一種の語り部役のメタ構造を持っているのだが、それがどれほどの効果があるかは疑問。観客を戸惑わせるものになってはいまいか。

米国経済(ひいては世界経済の)の破綻に逆張りを仕掛けるということに対しての罪悪感や、ファンド・マネージャの兄に関するサイドストーリーなど、なんとなく余計かな、という気はする。また、基本的には空売りを仕掛けて2年間は待つというストーリーなのでテンポは少しかったるい。

という感じの細かい文句はあるのだけれど、クライマックスの一つであるラスベガスのエピソードに見られる金融業界や政府に対する不信感を包み隠さず訴えてくるところなど、やはり骨太である。余談だが、ラスベガスにおける食事のシーンで徳永英明の『最後の言い訳』がBGMに使われているのは示唆的だ。

単純なエンタテインメントを期待すると物足りないが、社会派ドキュメンタリー映画などがお好きな人にはおすすめである。


◎原作も良書です。

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

  • 作者: マイケル・ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫


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『ロブスター』 [movie]

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原題:The Lobster
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー
製作年: 2015年
製作国: アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作
配給:ファインフィルムズ
上映時間:118分

二週連続でヒューマントラストシネマ渋谷に行くことになった。先週観た際に本作が予告編にありこれはおもしろそうだと目星をつけたのである。2月いっぱいはメンバーズカードに登録すると招待券がもらえることがわかっていたので入会し、本作に備えたのであった
解説
独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。
本作については、当方の勘が的中した。当方好みの不条理感あふれた佳作である。ちなみにタイトルは、どんな動物に変えられたいかと訊かれて主人公が答えたもの。

いわゆるディストピアものなのだが、そもそも45日間ルールとは何なのか、動物に変えられるとはいったいどういうことなのか、それらに関する説明が一切なく、最後まで語られることもない。鑑賞者はのっけから宙ぶらりんになる。

主人公役を演じるコリン・ファレルは、逆肉体改造をしたのかおなかの出た冴えない中年男性役を抑えた演技で好演。これまでのアクションものとはまったく異なる雰囲気だ。

意図的に撮られているのだろうが、影の薄い男性陣に比べて個性的な女性が目白押しの映画ではある。作中でホテルに軟禁状態にある独身者は、森の独身者を一人狩るごとに動物化への猶予が一日増える。特に優秀なのがサイコパスじみた女性だったりする。また、レア・セドゥ演じる森の独身者たちのリーダーもまた、冷酷な女性だ。

それらの対比や映画の語りに騙りがあることなど鑑賞者に読み解くことを強いる映画である一方で、ブラックな笑いを愉しめるある種のコメディ映画でもある。舞台となるホテルや自然の風景の美しさも愉しめる。ほとんどがアイルランドで撮られたもののようだ。

それにしても、冒頭のシークエンスは最後まで観終わってもよくわからない。どういう意味だったんだろうか。



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フランク・ハーバート:『デューン 砂の惑星〔新訳版〕 下』(早川書房) [book]


デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (下) (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (下) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/01/22
  • メディア: 文庫


内容(「BOOK」データベースより)
そして遂に復讐の時がきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、再び惑星へと降り立つが…。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。
ということで通読が完了。率直な感想として、本来はもっと語られるべき何かがあったのに、尺の問題でちょん切られた部分があるのでは、というものだった。つまり、本書にあたる章はだいぶダイジェストされているのではないかということ。まったくの憶測ですが。

物語の終幕も、明らかにto be continued といった体で、もちろんご存じのとおりこの後もシリーズは続いてくのだが。巻を追うに従い難解かつ複雑になっていく物語だったと記憶している。

典型的な物語の王道を装っている本書は、実は相当にグロテスクな世界観を持っている。この下巻でそれは特に際立っているように思う。願わくはハーバート自身の手になる最終巻まで新訳版を出版してほしいものだ。



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大野左紀子:『あなたたちはあちら、わたしはこちら』(大洋図書) [book]


あなたたちはあちら、わたしはこちら

あなたたちはあちら、わたしはこちら

  • 作者: 大野 左紀子
  • 出版社/メーカー: 大洋図書
  • 発売日: 2015/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
どういった経緯でか失念したが、著者のblogであるOhnoblog 2がRSSリーダに登録されている。本書の基になったweb連載はそのblogの案内で知っていたが、積極的に読むことはなかった。

今回、一冊に纏まったことを知り図書館に収蔵されないか待っていたのだが、登録されず。結局購入することにした。出版社がアダルト系だからだろう。連載も18禁サイトだったし。

出版社からのコメント
映画女優たちが扮する様々な姿から、複雑な女性の人生を読み解いて、日々を前向きに生きるヒントを得る。
読んで驚いたのが、とてもよくできた映画評論になっていること。よい書評や映画評は、あらすじをうまく紹介して、その本や映画を読みたくさせること、と何かで読んだことがあるのだが、まさにその感じである。

ちなみに当方が鑑賞したくなった作品は『ルイーサ』、『女はみんな生きている』、『浮き雲』の3本。いずれも興味を掻き立てられる紹介になっている。また、もともとが美術家である著者ならではのファッションやインテリア、そして女性に対する審美眼も切れ味するどいものだ。

これだけの良書が、出版社のブランドで判断されて収蔵されないのは、図書館における選書の限界を感じさせる。機械的にやらないと現在のあふれかえらんばかりの出版物に対応しきれないことはわかっているが、何とももったいない。そんなことを感じさせた一冊。



ルイーサ [DVD]

ルイーサ [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOブックス
  • メディア: DVD

女はみんな生きている [DVD]

女はみんな生きている [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: DVD



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『スティーブ・ジョブズ』 [movie]

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原題:Steve Jobs
監督:ダニー・ボイル
出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ
製作年: 2015年
製作国:アメリカ
配給:東宝東和
上映時間:122分

ファーストデーということで行ってまいりましたTOHOシネマズ新宿。歌舞伎町は相変わらず剣呑な雰囲気で緊張感が強いられる。通りにたたずんでいる男一人を見るとヤ○の売人のように思えてしまう。まあ偏見だけどさ。
解説
1984年のMacintosh、88年のNeXT Cube、98年のiMacというジョブズの人生の中で最も波乱に満ちていた時期に行なわれた3つの新作発表会にスポットを当て、人々を魅了した伝説のプレゼンテーションの舞台裏を通し、信念を貫き通そうとする姿や、卓越したビジネスセンスを浮かび上がらせていく。さらに娘リサとの確執と和解といったエピソードも盛り込み、ジョブズの素顔を浮き彫りにする。
単にファーストデーだからということで無理やり観に行った感がある本作だが、意外や愉しめたのだった。120分をダレることなく会話劇だけでまとめた手腕はなかなかのものと思う。

84年、88年、そして97年のiMacの発表会など、それぞれのプレゼンテーションの開演前40分に焦点をあて、関係者や娘との相克を描く、といった体。舞台は、文字通りその会場の舞台裏となっている。それにしても登場人物たちがよくしゃべること(笑) セリフ暗記の大変さが偲ばれる。

主演のマイケル・ファスベンダーはこれが初見と思ったら、以前危険なメソッド』で観ていたようである。あまり記憶にないが。ジョアンナ・ホフマンを演ずるケイト・ウィンスレットも迫力の熱演。セス・ローゲンノ化けっぷりもさすがである。ダニー・ボイル監督作品って観たことあるかな、と過去のエントリを探ったら『スラムドッグ$ミリオネア』で監督だったのね。

当方はジョブズ氏の生涯をそれなりに知っているのでその全体像の一部として愉しんだのだが、そういった知識がまったくない人が観たらどう思うのか訊いてみたい。そんなことを思わせる作品。


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