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吉永裕ノ介:『ブレイク ブレイド[1]~[7]』(ソフトバンク クリエイティブ) [book]

ブレイク ブレイド 1巻 (Flex Comix)

ブレイク ブレイド 1巻 (Flex Comix)

  • 作者: 吉永 裕ノ介
  • 出版社/メーカー: ソフトバンク クリエイティブ
  • 発売日: 2007/04/10
  • メディア: コミック

当方はリアルタイムに視聴していたガンダム世代なので、人間型ロボット兵器が闘うアニメやコミックはそれなりに好んでいる。とはいえ、兵器としてのロボット(パワードスーツ含む)に対しては、その存在理由に疑義を持たざるをえない。くわしくは下記をご参照。

参考サイトにある物理的な問題はもちろんのこと、兵器としての実用的側面では「前方投影面積」の大きさが問題だと思う。仄聞ではあるが、欧米諸国では都市で銃声が聞こえると一般市民でさえ、さっと地面に身を伏せるという。それくらい立っている人間の身体は標的になりやすいということなんだろう。況やロボットおや。兵器としてのロボットは明らかに不利なわけだ。

そんな不利を押してまで人間型ロボット兵器が登場する必然性を説いたアニメやコミックは視たり読んだりしたことはない。辛うじて、嘗て山田正紀が『 機神兵団 』の冒頭に記述していたが、まあ、それも言い訳と言えばそんな感じがしたものだ。

それでも、これだけ人間が搭乗するロボットが活躍するアニメやコミックが存在するのは、自己が拡大されるということへの憧れがあるのだと思う。自分の肉体だけでは実現しえないスピードやパワーを発揮できるということへの、だ。それは三輪車や自転車から始まり、バイクやクルマにより(行動範囲を含めた)自己を拡大したいという欲求に近しいものがあると思ったりする。


内容紹介
国家の思惑と戦争の中で、友情で結ばれていたはずの友たちは、互いに争う事しかできないのか……!?
人々が内在する魔力をレンズと呼ばれる触媒で顕在化させ、エネルギーとする世界のクルゾン大陸で巻き起こる資源戦争。戦闘兵器魔動巨兵ゴゥレムによる戦乱は激化していた。魔力を持たないライガットは、発掘された古代のゴゥレムにふとしたことから乗り込み、戦乱の渦に巻き込まれていく…!
魔力のないライガットが何故ゴゥレムを動かせるのか? そして敵・味方に別れ争うこととなった友情の行方は…?
友情と戦争の間で葛藤する若者達の姿と、重厚なメカアクションが見事に融合したスペクタクル戦記ロマン!!


弊blog初のコミックに関するエントリ。近日にアニメ化された劇場版が公開されるからだろう、立ち読みサンプルがあり、それを読んだら続きを読みたくなって購入。まさに出版社の思うつぼにはまったわけだ。

ストーリーは、古代ローマやギリシャと中世ヨーロッパをまぜこぜにし、且つ妙に発達したテクノロジを持つ異世界でのロボットメカアクション戦記物。まあ、良くある話といってしまえばそうではある。

そんな良くある話になぜ興味が向いたのかというと、主人公が搭乗する古代の人間型ロボット兵器のインジケータ類が日本語で標記されているということからだった。この日本語の表記により、おそらくは現代人からみて遠未来の物語であり、魔力を持つ人々と持たない古代人(われわれ現代人ね)との歴史上の断絶の謎という物語が立ち上がるわけだ。

実はこれって凄いことで、小説ではできない表現技法だと思った。絵で日本語が書かれていることで、細かい説明なしに上記のようなことをわからせてしまうのだから。主人公をはじめとする登場人物たちは日本語がわからないが、読者はわかる。これを小説でやろうとしたら、ひどく説明的でかっこわるい文章になってしまうだろう。

そういった魅力的な謎はあるものの、7巻を読み終えた現状での作者の興味は、シリアルキラーのようなゴゥレムの使い手に移っているようである。だから謎が解明されるまで物語は相応に長いものになるのかもしれない。

あと、ユニークと思えたのは、これから物語をもり立てていきそうな登場人物が、登場してそれほど時を経ず、敵味方関わらず、バッタバッタと斃れていくこと。このあたりは作者の歴史観とか戦争観に関係しているのだと思う。

最新刊は未入手だが、これから長くおつきあいするコミックになりそうだ。ちなみに、人間型ロボット兵器が登場する必然性に関する説明は特になかったです。


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