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森功:『サラリーマン政商 宮内義彦の光と影』(講談社) [book]

サラリーマン政商 宮内義彦の光と影

サラリーマン政商 宮内義彦の光と影

  • 作者: 森 功
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/05/25
  • メディア: 単行本


1988年に、オリックスという聞いたことなのない会社が、阪急ブレーブスを買収したとき、「リース業ってなに?」と思ったものだった。不惑を越え、さすがにリースのなんたるかは知るようになったが、肝心のオリックスという企業は詳細を調べることはしなかった。そのあたりが書かれているのでは、と思い本書を手に取ったのだった。


内容(「BOOK」データベースより)
「規制緩和の旗手」という表の顔を巧みに利用し、政権に深く食い込み、その影響力をビジネスに利用した男。「村上ファンドを産んだワンマン経営者」の実像に迫る。


そんな当方の思惑とは異なり、本書は、そのタイトルにある人物に対しての告発本といった位置付けだ。乱暴に要約すると、小泉政権時代に規制緩和の旗手として活躍した当該人物が、その活動により自社への利益誘導を画策したのではないか、という疑惑を調査するルポルタージュ。なるほど、著者の取材で得られた事実は、その可能性について、当方にも「ぁゃιぃ...」と 思わせる内容だ。

でも、なんというか、全体に違和感を覚えたのもこれまた事実。これだけ複雑化した社会や企業組織、そして経済環境下、たった一人の人物の意志だけでうまい具合に物事が運べるだろうか。むしろ、強烈なカリスマを持った人物に組織が方向付けされ、自律的に動いた結果なのでは、と当方は思う。 いや、わからないけどさ。

本書には、昔のヒーローもののように、悪の親玉を斃せば世界の平和が得られる、という無邪気さの裏返しが見えるように思えてしまった。陰謀史観と一緒で、物事をできるだけ単純化しわかりやすくするということは危険だと思ってしまうのだ。

とはいえ、やはりこの手の野次馬根性を刺激する書籍は無責任におもしろいといえる。 このあたりは人間の性なんでしょうね。気になる方は一読してみては。


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