『シャーロック・ホームズ』 [movie]
原題:
Sherlock Holmes
監督:
ガイ・リッチー
原作:
アーサー・コナン・ドイル
脚本:
マイケル・ロバート・ジョンソン、アンソニー・ペッカム、サイモン・キンバーグ
出演: ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、エディ・マーサン、ケリー・ライリー
音楽:
ハンス・ジマー
製作国:
2009年アメリカ映画
上映時間:
2時間9分
配給:
ワーナー・ブラザース映画
ストーリー
アーサー・コナン・ドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズのキャラクターにインスピレーションを受けたオリジナルストーリーを、「スナッチ」のガイ・リッチー監督が映画化。19世紀末のロンドン。ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)と医師ワトソン(ジュード・ロウ)の2人は、怪しい黒魔術の儀式を行い、若い女性を次々と殺害するブラックウッド卿を逮捕する。だが、処刑されたはずのブラックウッドが蘇り、再び殺人事件が発生する…
まったく期待せずに鑑賞に赴いた本作だが、意外や意外、真っ当につくられたアクション映画だったのには驚いた。そもそも、ロバート・ダウニー・Jr.がシャーロック・ホームズを演じるという時点で期待なんかできるわけないじゃないですか。痩身で長身、鷲鼻というイメージ通りじゃないし。
同じようなことはジュード・ロウ演じるワトソンにもいえることであって、やたらけんかっ早かったりアクティブだったりするところは、かなり冒険的な新解釈だと思う。
そんなふうに、シャーロック・ホームズのパスティーシュではなく新解釈だと思えば、逆にやたらとぬかるんだロンドンの道路とか小汚い風情とかがリアルな分、従来の同時代を舞台にした諸作品よりリアリティがあるといえるだろう。『 パフューム 』のパリの描写を彷彿とさせます。
そして、おもしろいと感じたのはその映像表現で、たとえば冒頭のブラックウッド卿逮捕劇で、ホームズが自分のシミュレートした動きの通りに相手を倒すシークエンスなど、これまであったようでなかった表現が楽しい。
ストーリーはほどよく刈り込まれているし、伏線の回収もきっちりやっているのでわかりやすい。よもや、ガイ・リッチーがこういう映画を撮るとは思わなかった。
取り立てて特筆するような点はないんだけど、俳優や脚本、そしてヴィクトリア時代の描写もリアリティがありそうで、全体としてみると意外に端正でかなり愉しめる娯楽作品になっている。残虐シーンもないし、デートムービーにはお奨めできる。