藤原新也:『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』(東京書籍) [book]
内容(「BOOK」データベースより)
ささやかな日々、深く静かな声、愛と別れの一瞬と永遠の物語。フリーペーパー誌に連載中から読者の静かな共感と深い感動を呼んだ、藤原新也の新境地。最高傑作の呼び声高い1冊。
帯裏にフリーペーパー連載時であろう読者の声が掲載されている。それを読むといま流行りの「泣かせ」系書籍とも思えるが、その予想はいい意味で裏切られる。
そもそもこの17編の文章が小説なのか随想なのか判然としないのだが、そんなカテゴライズは無意味に思われる。著者は淡々と登場人物たちの人生の一瞬を切り取り読者に指し示す。
語られるエピソードはほとんどがほろ苦いものだ。このほろ苦さは、ある程度の年齢を経なければ味わいとして認識できないと思う。だから、子どもにはわからないとはいわないが、やはり大人のための掌編集といえると思う。
タグ:【読書】国内文学
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