香山リカ:『しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』(幻冬舎) [book]
しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
- 作者: 香山 リカ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/07
- メディア: 新書
これを書いている時点でAmazonの新書・文庫カテゴリのランキングで4位。売れてるんだなあ。著者の著書は何冊か読んできたけれど、ここまで売れているのは初めてじゃないのか。よくわからないけど。
内容(「BOOK」データベースより)
平凡で穏やかに暮らせる「ふつうの幸せ」こそ最大の幸福だと、今、人々はやっと気がついた。雇用、医療、介護など社会のセーフティネットは重要だけれど、自分の外に求めるだけでは、人生はいつまでも満たされない。「ふつうの幸せ」を手に入れるには、「私が私が」という自慢競争をやめること。お金、恋愛、子どもにしがみつかないこと。物事の曖昧さ、ムダ、非効率を楽しむこと。そして他人の弱さを受け入れること―脱ひとり勝ち時代の生き方のルールを精神科医が提案。
読むのにはさほど時間はさほどかからない。21時に読み始めて22時30分には読み終えてしまったから、するすると読める新書には違いない。するする読めるからって、内容が薄っぺらいとは言わない。むしろ共感できる文章はいくつかあり、読んで損はしないと思った。
思うのは、作品の内容とは関係なく、新書の雑誌化がまた加速するな、ということ。このところ売れ行きも含めて沈静化していた新書だが、このようにウケる作品が出ると、またぞろ柳の下の泥鰌を狙う出版社が増えるだろうということだ。
本書に関して言えば、たとえば雑誌の連載コラムを纏めたもの、といわれたら確かにそうだろうなと信じそうだ。何度も言うけれど、だから悪いと言っているのではない。こういった主張の文章を受け皿にしていた雑誌が売れなくなってきたから、直接に新書化されているんではないか、と感じているのだ。
どのくらいの出版社がどのくらいの量の新書を出版しているのかはさだかではないが、玉石混淆でどれを選んでいいのかよくわからない状態になっている。もちろん、量が質を生むということはあるが、それにしたってねえ。
新書という判型はハンドリングしやすいし定価もお手頃なので、雑誌に近い読み捨てのものに近づいているのだとしたら、やはり出版ということに対しては、長期的にはマイナスの影響があるのではないか。
なんて偉そうなことを書いてしまって申し訳ない。本書については異論反論もあるだろうし、そのような感情を抱かせるだけの内容は持っているので興味のある方は読んでも損はないと思う。出版社のマーケティングの勝利ということもあるんだろうが。
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