『ザ・セル』 [dvd]
原題:The Cell
監督:ターセム
衣装:石岡瑛子
出演:ジェニファー・ロペス、ビンス・ボーン、ビンセント・ドノフリオ
製作国:2000年アメリカ映画
上映時間:1時間49分
配給:ギャガ・ヒューマックス共同
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
ターセム・シンが演出、『アウト・オブ・サイト』のジェニファー・ロペス出演のサイコ・サスペンス。女性心理学者キャサリンの元に、意識不明の殺人鬼の脳の中に入り込み、誘拐された女性を探すという依頼が舞い込む…。
『落下の王国』で初めて鑑賞したターセム監督が初めてメガホンをとった映画。『落下の~』とは異なり、初監督作品はシリアルキラーの精神に潜行する女性を中心に描いた映画だ。
とはいえ、単なるサスペンスやファンタシィではなく、潜行した相手の心象風景(まさに風景!)は同監督らしいイマジネーションに溢れており、そこが見所となっている。一部の風景はおそらくCGが使われているが、それに満足できなかったために『落下の~』が生まれた、と推測してしまう。
このイメージは(模倣とかそういう意味ではなく)『パンズラビリンス』のデル・トロ監督のそれと通じるものがあるように思う。ターセムがインド出身、デル・トロがメキシコ出身という地域性が作用しているのかもしれない。
タイトルの"ザ・セル"とは、シリアルキラーが犠牲者を閉じ込める独房のことを指す。このセルは決まった時間に水で満たされ、監禁された者が溺死するような仕組みだ。そこにタイムリミットサスペンスが生まれるというわけ。
この脚本がより緊密なものであったなら独特の映像美と相俟ってより楽しめたかも。具体的には書かないけれど、犯行の手がかりになるあるものが、なぜそこで気づかなければならないのか不自然と思ったからだ。
それなりに愉しめた作品ではあるが、『落下の王国』の幻想的な映像美が気に入った人でも、残酷シーンが苦手な人には本作はお奨めできない。相応に耐性がある人には、ということにしておこう。
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