草上仁:『文章探偵』(早川書房) [book]
当たり前のことだが、文章を書くのって本当に難しいと思う。いろいろなものの感想を書くにあたっては、できるだけ自分の思ったままを記述しようとするのだけれど出来たためしがない。いつも何か言い足りない、という文章しか書けない。たぶん、構成力がないんだろうなあ。
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内容(「BOOK」データベースより)
中堅ミステリ作家・左創作は、文章からそれを書いた人間をプロファイルする文章探偵である。彼は、審査を務める新人賞に応募された作品の中に、自分が講師をしている創作講座の生徒のものらしき作品を発見する。しかしその作品内容に酷似した殺人事件が起こり、左は文章プロファイリングを開始する。真実を述べているのは誰なのか?謎が謎を呼ぶ、不可解な展開!妙手、草上仁がしかける本格ミステリ。
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『 数学的帰納の殺人 』は割りに気に入ったので遡って本書を入手・読むことにした。著者としては初の現代を舞台にしたミステリ作品だ。
読んでいる最中、既視感があると思っていたら、どことなく折原一の作風と似ているということ。ちなみに折原作品は初期のころは読んでいたが、どうも馴染めずに近作は読んでいない。
どこが似ているんだろう、と思っていたのだが、本書は装丁やタイトルから推測されるペダンティックな探偵小説ではなく、戯画化された登場人物たちがトリックのためのトリックを仕掛けるような内容だからか。
飄々とした作家探偵の物語かと思っていた当方にとっては、少しばかり当てが外れたところではある。そして、最後まで読み通したのだから決してつまらないわけではないのだが、著者の狙いが奈辺にあるのか読み切れなかった。残念。
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