『誰が電気自動車を殺したか?』 [dvd]
監督・脚本:クリス・ペイン
製作総指揮:ディーン・デヴリン,リチャード・D・タイタス,タヴィン・マリン・タイタス
撮影:タディアス・ワドリー
音楽:マイケル・ブルック
ナレーション:マーティン・シーン
出演:チェルシー・セクストン,トム・ハンクス(アーカイブ映像),メル・ギブソン(アーカイブ映像)
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ドキュメンタリ映画というジャンルが好きなのだが、劇場でかかるのは比較的少ないと思う。そこで唯一気を吐いているのがシネマライズ。
これまでにも『 エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? 』や『 ダーウィンの悪夢 』などが上映されていて、当方も喜び勇んで鑑賞しに行ったものだ。本作は日本では劇場公開されていないようだが、同館でかかってもおかしくはない内容だ。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
市場から消えた電気自動車の謎を追究するドキュメンタリー。大発明として注目され、カリフォルニア州で導入政策まで始まっていた電気自動車が、突然市場から姿を消してしまった原因を探る。“CINE STYLE @ SONY PICTURES ドラマselection 第1弾”。
本作は20世紀末にGMが生産していたEV1という電気自動車を巡る米国社会の様相を映しだしたドキュメンタリだ。この車がなぜ進化の途中で、まるで存在しなかった如く人々の記憶から消えてしまったのか。そして、その記憶を消せない元ユーザーたちがメーカーとどのよういに闘ったのかの記録でもある。
いや、実はこれを観る直前までフェイク・ドキュメンタリを三作続けて観てしまっていたので、このEV1なる車もその社会も実はフェイクなのではないか、と思わずwebで検索してしまった。実際にEV1は存在しているので、興味のある方は検索してほしい。
閑話休題、本作ではEV1が誕生するに至った経緯や周辺の人物、そしてプロジェクトが終息するまでの社会・経済環境や政治の状況を活写したうえで"誰か"電気自動車を殺したのがを推測する。
その回答自体はさして目新しいものではないし、映画自体もめちゃくちゃ引き込まれるようなドキュメンタリとはいえないかもしれない。
当方が驚いたのは電気自動車が前世紀末に米国の公道を (車自体はリース物件ではあったが) 走っていたということ。そして、GMのみならずTOYOTAやHONDAが追随して生産を開始していたということを知らなかった・あるいは忘れ去っていたことだ。実際にガソリンスタンドのように電気を供給するスタンドのようなものまで整備していたようだ。
忘れられたテクノロジ、というのはとてもロマンをかき立てられる。例えとしては古いのかもしれないけれど「蒸気機関コンピュータ」とかを想起させる。まるで進化の枝分かれの果てで絶えてしまった生物と同じように。
本作で監督が言いたかったこととに対する感想ではないのかもしれないが、当方としては上記のような感覚を思い起こさせる不思議なドキュメンタリ映画。当方はおもしろかったが、この感覚をうまく説明できないもどかしさはあるんだよね。
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