伊坂幸太郎:『あるキング』(徳間書店) [book]
テレビもみないしラジオも聴かないし新聞もとっていないので、いまプロ野球がどうなっているのかはほとんどわからない。もともと好きでもないし。幸いにも職場でその類の話をする人がいなくてよかった。
それでも、イチローくらいは知っているし、不世出の選手だということは分かる。打撃はもちろんのこと、守備の巧さは下掲の動画をみれば、まさに神がかっているといえるだろう。
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内容紹介
天才が同時代、同空間に存在する時、周りの人間に何をもたらすのか?野球選手になるべく運命づけられたある天才の物語。
山田王求はプロ野球仙醍キングスの熱烈ファンの両親のもとで、生まれた時から野球選手になるべく育てられ、とてつもない才能と力が備わった凄い選手になった。王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期のそれぞれのストーリーが、王求の周囲の者によって語られる。わくわくしつつ、ちょっぴり痛い、とっておきの物語。『本とも』好評連載に大幅加筆を加えた、今最も注目される作家の最新作!!
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というわけで、当代随一の人気作家である著者の最新作を入手。このタイミングでエントリしているのだから、引き込まれるようにグイグイ読んでしまったよ。おもしろさはぴかいちですね。
とはいえ、ミステリ作品とはいえず、そのカテゴリを期待する人には少し物足りないか。ここのところの著者は寓話を書きたいのでは、とも思える。もちろん、その傾向は初期からあったのだけれど。
ストーリーやアイデアのおもしろさを愉しむのではなく、アイロニカルな伊坂世界を愉しむための作品かもしれない。そういう意味では初期作品のおもしろさを求める人にはお奨めしがたいか。当方は一気読みで愉しめたのだが。
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