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『ディア・ドクター』 [movie]

上映時間:127分
配給:2009エンジンフィルム=アスミック・エース
スタッフ&キャスト:
[監督][原作][脚本]西川美和
[撮影]柳島克己
[出演]笑福亭鶴瓶,瑛太,八千草薫,余貴美子,井川遥,松重豊,岩松了,笹野高史,中村勘三郎,香川照之

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すでに5ヶ月ほどテレビのない生活をしているのだが、まったく禁断症状はない。いくらなんでも少しはみたくなるのでは、と思っていたがその気配はない。ただ、当方とてみたい番組がないことはなく、たとえばそれは「NHKスペシャル」であったり「鶴瓶の家族に乾杯」だったりする。


[あらすじ]
山あいの村で医師を務める伊野の元に、医大を卒業したての研修医・相馬がやってくる。相馬は田舎の医療に戸惑うも、伊野の働きぶりにやがて共感を覚えるように。だが、かづ子という患者の存在が大きな事件を引き起こす。

さて、本作はあの『 ゆれる 』と同一の監督の作品。当方は、実は『ゆれる』のおもしろさってわからなくて、最後には???が並んでしまったタイプの人間だ。果たして本作は愉しめるのか...。と思っていたらそれは杞憂でとても愉しめた。

本作のテーマは奥が深い。「なぜ人は嘘をつくのか」、「善悪とは何か」、「生とは、死とは」、「家族とは」、「人はなぜその土地に縛られるのか」などなど。それらが有機的に絡み合っているので、何かひとつに絞って語るのは難しいし当方にそのような分析能力も筆力もない。

ただ、ひとついえそうなのは本作が主人公である医師の伊野と患者の鳥飼かづ子の物語であること。なぜ伊野がかづ子に対しあのような行動を取ったのか。そのあたりの背景はありそうだが作品の中で細かく言及されることはない。

ヒントになりそうなのは、終盤で刑事から聴取を受ける香川照之のシーン。当方は、このシーンが脚本も書いている監督が言いたかったことの一端を顕わしているのではないかと思った。

存在感がありまくりの俳優陣の中にいながら、それを上回る笑福亭鶴瓶の力演が際立っている。無医村の医師の役柄だが、このあたりのイメージは「家族に乾杯」で培ったものか。

細かいシーンのひとつひとつにきちんと意味があるという、恐ろしく丁寧に撮られた映画作品だと思う。首都圏ではすでに上映は終了している模様だが、地方ではこれからのようだ。2時間超を退屈することなく観させる作品としてお奨めしたい。


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