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長岡弘樹:『陽だまりの偽り』(双葉社) [book]

陽だまりの偽り (双葉文庫 な 30-1)

陽だまりの偽り (双葉文庫 な 30-1)

  • 作者: 長岡 弘樹
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2008/08/07
  • メディア: 文庫

お米という食べ物はなんとコストパフォーマンスが高いのか。腹持ちがするし長持ちするし。普段は何気なく食べていたものが、いざ一人暮らししてみて初めてそのありがたみがわかった。

お昼はお弁当、晩は自炊しているとほとんどお金を使わない。飲み物はブリタのお水をエキストラ出演でもらったシグボトルに汲んで持って行っているし。ドケチってわけじゃないけど、使わないで済むのならそれに越したことはない。単身赴任太りして帰ってやる...。


内容(「BOOK」データベースより)
最近、物忘れがはげしいことを気にしている郁造。息子の嫁から預かった現金を落としてしまったが、どこで落としたのかも覚えていない。ボケ老人のレッテルを貼られることを恐れ、郁造はある行為に踏み切る。果たして、その先に待ち受けていたものは…(表題作「陽だまりの偽り」)。5つの心模様を端正に描いたミステリー短編集。小説推理新人賞作家、注目のデビュー作。


今年の初めに読んだ『 傍聞き 』の著者の第一作品集。結論から申し述べると、当方としては『 傍聞き 』よりもむしろ本書のほうが愉しめたと言っておこう。

『傍聞き』をお読みの方ならおわかりのように、著者の作品は基本的に大悪人は出てこない。まさに"あなたに似た人"という一般的庶民の物語が多いと思う。一方で似ていないなあ、と思うのは自分なりのルールに則った登場人物が誤解を恐れずに行動するところだろうか。

本書で言うと「プレイヤー」を除いて、自分なりのやり方を進める人物とそれを文字通りに受け取る人物たちとの相克におもしろみがある。難しい表現で申し訳ないが、誤解を恐れず簡単に言ってしまえばO・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思い出す作品が多い。

すれ違いの中で、やっと分かり合える人間の哀しみとかおかしさとか、そんなペーソスがあると思う。だから、アイデアとしてはどうってことないのかもしれないし、もの凄く深い感銘を受けるわけでもないのだが、それでも好きな感じがするのだ。

当方のベストは「写心」。登場人物たちの心の動きが最後になってほどける。余韻を残すラストも好もしい。すれっからしのミステリファンにこそ本書はお奨めかもしれない。 


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地蔵

般若坊さんへ

ちょっとおもしろい本ですよ。

nice!ありがとうございます!
by 地蔵 (2009-07-22 21:53) 

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