石持浅海:『まっすぐ進め』(講談社) [book]
『 龍神の雨 』は買ったんだが、2ページほど読んだだけで、道尾修介お得意の路線と恐れをなして読み進めていない。だからというわけではないけど、少し毛色が違う酷薄路線の著者の作品を読み進める。
内容(「BOOK」データベースより)
書店で真剣に本を選ぶ美しい女性―まるで絵画のような光景に見とれた川端直幸。友人の紹介でその女性・高野秋と偶然にも知り合う。やがて始まるふたりの交際。関係が深まる一方で、秋にちらつく深い闇は消えない。そして、ついにその正体が分かる時がやってくるのだが…。
雑誌に発表された3編に書き下ろしの2編を加えた連作長編という出で立ち。いちばんテイストが似通っているのは『 Rのつく月には気をつけよう 』かな。著者の作品は美男美女が多いのが特徴といえるか。
従来からの酷薄路線は本書でも健在で、「いるべき場所」などはある意味では道尾作品より酷薄かもしれない。読んでいてズンとこないのは、おそらく著者の筆致がサラリとしているからだと思う。
ただ、読み終えて思ったのは(ネタバレなのかもしれないけど)わりと直球のラブストーリーだということ。これは珍しい。当方としては著者の作品中では異色作として位置づけられる。初心者には、ここから、と言っていいかもしれない。
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