道尾秀介:『鬼の跫音』(角川グループパブリッシング) [book]
跫音と書いて足音と読む。跫はキョウまたはコウという音で、人のあるく音、さらに人の気配のするさまのことを言うんだそうである。部首でいえば恐という字の冠と同じだからちょっとおどろおどろしいですな。
おどろおどろしいといえば本書の表紙の絵も怖い。下田ひかりさんという画家でプロフィールなどはここを参照してほしい。なるほど、本書の内容と重なる部分があると思った。
内容(「BOOK」データベースより)
心の中に生まれた鬼が、私を追いかけてくる。―もう絶対に逃げ切れないところまで。一篇ごとに繰り返される驚愕、そして震撼。ミステリと文芸の壁を軽々と越えた期待の俊英・道尾秀介、初の短篇集にして最高傑作。
『 カラスの親指 by rule of CROW’s thumb 』は読み終わっていないが、ここ数作で続いていたミステリ傾向に振られた内容ではなく、ホラーというかサイコサスペンス傾向にある作品集。デビューがホラー作品だったので不思議はないが、当方は未読なので新鮮だった。
当方のお気に入りは、その中でもミステリ傾向にある「箱詰めの文字」。短いながらも二転三転する内容が面白い。そして「悪意の顔」はダークファンタシィとも言うべき内容。なぜ表紙の装画がこれだったのかわかるような作品だ。
道尾ファンならすでに読んでいるだろうし、初心者は『 ラットマン 』あたりから入ってその次に読んでみてはいかがだろうか。
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