麻生幾:『ショットバー』(幻冬舎) [book]
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内容(「BOOK」データベースより)
中堅商社に勤務している吉岡亜希は、やっと一人前と認められ、顧客担当を任されるようになっていた。三年前から付き合っているメーカー勤務の恋人・翔太から結婚をほのめかされ始めていた、ある日。顧客からのクレームで疲れ果てながらもデートに向かう亜希の携帯に、翔太から待ち合わせ時間に遅れるというメールが入る。時間を持て余した彼女は、ショットバーに入ることにした。そこで偶然出会った見知らぬ女性が、その夜何者かに殺害される。デートを終え事件を知らずに帰宅した亜希を、目撃者として探し始める警視庁捜査1課の刑事たち。そして殺害された女性を巡り、公安部外事警察も周囲に姿を現し…。警察と国家に翻弄されながらも強く生きようとする女性を描く、著者の新境地、傑作警察小説。
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著者の新作はこれまでの枠組みと少し変わって女性が主人公。いわば巻き込まれ型のサスペンス小説という衣装をまとってはいる。とはいえ梗概を読んでもおわかりのように警察・謀略小説であることは予想できる。
結論を申し述べると、そこそこに愉しめたが従来の著者の小説を期待すると肩すかしとなる。まず、梗概で早々にネタを証しているのが気にくわない。どうせならサイコスリラー系と思わせておいてそうじゃない、などの選択もあったはずだ。
登場人物たちは麻生キャラともいうべき警察官や自衛官で、その造形はきわだってはいるものの、いつもと同じ感は拭えない。ストーリーも先が見えない、というほどのこともなくある程度予想できるものだ。
相変わらずのストーリーテリングで一気に読ませる快作ではあるが、少し物足りなさも感じてしまった。『 エスピオナージ 』のような作品をまた読みたいなあ。
般若坊さんへ
nice!ありがとうございますー。
by 地蔵 (2009-04-23 10:22)