SSブログ

イアン・ランキン:『紐と十字架』(早川書房) [book]

紐と十字架 (ハヤカワミステリ文庫)

紐と十字架 (ハヤカワミステリ文庫)

  • 作者: イアン ランキン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/04/08
  • メディア: 文庫

ここまで海外のエンタテインメントを何冊か紹介しているが、図らずもすべてがイギリスの作家のものであることに驚いた。もちろんシャーロック・ホームズを読み始めた頃から霧のロンドンには親しんでいるが、取り立ててかの国が好きというわけではない。おそらくイギリス的な韜晦とか皮肉っぽいところや理屈っぽいところが好きなんだろう。ということで本作もイギリスの作家によるエジンバラを舞台にした警察小説。


[BOOKデータベースより]
「結び目のついた紐」と「マッチ棒で作られた十字架」―奇妙な品物がリーバスのもとに届けられた。別れた妻が嫌がらせで送ってきたのか?孤独なリーバスはエジンバラの街を震撼させている少女誘拐事件の捜査にうちこむ。だが、まもなく少女は無残な絞殺体で発見された。やがて彼のもとに差出人不明の手紙が。「まだおまえはわからないのか?」…現代イギリス・ミステリの最高峰、リーバス警部シリーズ待望の第1作。


本作を読んでエジンバラについて少し調べた。そもそも一言でイギリスとは言うが、イングランド,スコットランド,ウェールズ,北アイルランドから構成されている連邦王国。エジンバラはそのスコットランドの首都。旧市街と新市街の美しい町並みは世界遺産に登録されていている。そしてアーサー・コナン・ドイルやショーン・コネリー、本作でも言及されている『 ジキル博士とハイド氏 』を書いたロバート・ルイス・スティブンソンが生まれた街でもある。

現代のイギリスの事情がどうなっているかよくわからないが、日本だって東京と大阪がいろんな意味で違うように、イングランドとスコットランドの政治・文化的背景は相当に異なっているんだと思う。予めそんなことを念頭に置きながら本書を読むと、また違った面でおもしろかったかもしれない。

さて内容なんだけど、ジョン・リーバス警部(本書では部長刑事)の第一作目でシリアルキラーもの。1987年の発表ということもあり少し古めかしい雰囲気だ。本格的な捜査小説というよりは、自分の過去と関わる何かに巻き込まれた警察官の小説、といった風情。

ミステリとしては、そんなのはやく気付けよ、ってところがあり登場人物たちの手抜かりにいらいらする。アイデア自体も最近の小説では見慣れたところもあり、この作品だけでは残念ながら良い評価は出来ないと思う。真骨頂は1997年に発表されCWAのゴールドダガー賞を受賞した『黒と青』やMWA最優秀長編賞を受賞した『甦る男』を待たねばならないのかもしれない。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。