小宮一慶：『「1秒!」で財務諸表を読む方法』（東洋経済新報社）

「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本

• 作者: 小宮 一慶
• 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
• 発売日: 2008/01/25
• メディア: 単行本

「門前の小僧」をGoogleで検索すると「新米ママの子育て応援サイト」の記事が出てきたのでびっくり。記事をみると「好きなことや嫌いなことは全て環境によって決まると言うことです」という言葉があり、なるほどと思う反面、でも嫌いなことはやりたくないなあとも思うが、冷静に考えるとこれってたぶん子どもが幼いときの話を言っているのであって、不惑を過ぎた人間には当てはまらないんだろうな。とはいえ、門前の地蔵たる当方も仕事によって各社の有価証券報告書をみてなんとなくこんな感じかな、とわかるようになったのはやはり環境のなせる技だろう。人はおもしろいものだ。

さて本書は 『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』に引き続き同じ著者のもの。なにしろ「1秒!」ですよ。イチロー並みの動体視力を持ってないと読めないのではないかとも思うがどうなんだろうか。

結論から言うと、"「1秒!」で財務諸表を読む方法"ではなく、"「1秒!」で財務諸表を読むためにはどこを見ればいいか"について書かれたある本だった。そういう意味では、タイトルの内容を期待して購入する読者には不親切なタイトルと言わざるを得ない。書かれてある内容も、そこそこに決算書を読める人間でないとのっけから躓きそうなものだ。

それを割引いたうえで読めば、普段なんとなくわかっているようなGDPという言葉や、花王によるカネボウの化粧品事業買収とか楽天の野球事業参入の真の意図とかが身近な言葉でわかりやすく書いてあるというおもしろさは評価できる。なにより、「文は人なり」で、著者の穏やかな人柄を感じさせるわかりやすく平明な文章がいいと思う。そんなわけで、初心者向けと言うよりは初心者から一皮むけた人が読むに適した本だと思った次第。

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