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ギャビン・ライアル:『深夜プラス1』(早川書房) [book]

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))

  • 作者: ギャビン・ライアル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/04
  • メディア: 文庫

当方は小学生から「ミステリマガジン」(早川書房)を購読している。30年近く一つの雑誌を休みなく購入、しかも一冊も捨てた覚えがない。そりゃあ、部屋も魔窟と化すわけだ。それくらい昔からミステリが好きだったが、意外に古典とか名作とか言われるものを読んでいなかったりする。『幻の女』も『クロイドン発12時30分』も高い砦』も『鷲は舞い降りた』も、たまたま今思いついたものを挙げただけで他にも取りこぼしは多いと思う。ギャビン・ライアルも、本書を読了するまで実は一冊も読んだことがない。『影の護衛』は図書館で借りた覚えがあるが読了したかあやふやなので。なぜ今更読もうとしたのだろう。よくわからない。

さて読了して書簡を箇条書き。

  • 原著の発表は1965年。初訳はいつごろかわからないが、この文庫版の初版が1976年。以来、38刷を数える。ロングセラーですね。
  • それにしても、この期間限定カバーとやらの趣味の悪さには辟易。出版社のセンスを疑うし著者を愚弄してまいか。
  • 翻訳は生硬なもの。会話が「~のだ」口調だったりする。近年は再訳のブームだから現代風にアレンジし直したものも併売してはいかが。
  • 読み始めてこの作品が一人称であるのに少し驚く。
  • 多くのレビュワーが指摘しているとおり、アイテムのこだわり(シトロエンDSや1932年式モーゼルなど)が良い。
  • ドライバー、ボディガード、護衛されるもの、その秘書、の四人の道中になるが意外に宥和とかせずに最後まで距離を取り合っているので感情移入すべき人物がいないのが惜しい。
  • 一番、似通った印象を持つ作品がレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』だ。A地点からB地点まで、という冒険小説の典型のような小説だが実はハードボイルド小説そのもの。チャンドラーも実質的にはイギリス人だから、イギリス的なものがハードボイルドの源流であるのがよくわかる。
  • 主人公は40歳で、そういう意味では20歳前後ではわからない大人の小説。既読の人も40歳を超えてから再読してみては如何。

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