アイナール・トゥルコウスキィ:『月の花』(河出書房新社) [book]
内容(「BOOK」データベースより)
たいそう古びた石の屋敷に、ひとり住む男。広い庭は草花で埋め尽くされ満ち足りていた男だが、不思議なことに、つぼみのまま咲かない花に気がついた。そこで男は突拍子もないことを思いつく―。
作者は、前作の『 まっくら、奇妙にしずか 』はブラティスラヴァ世界絵本原画展グランプリを、史上初めてデビュー作で受賞するという快挙を成し遂げた。それも不思議ではないと思わせる傑作だったと思う。
さて、待望していた第二作はというと、やはりデビュー作のインパクトには及ばなかったというのが正直な感想。もちろん、HBのシャープペンシルで描く精緻なエッチングのような画風は健在だが、当方の好みの奇怪なガジェット類の登場がなく、お話自体も少しおとなしめだからかと思う。
とはいえ、凡百の小説の及ばない幻想的なストーリーと絵がマッチングした本書は、他に同様の書物を思い出せないような特異な立ち位置にあると思う。 絵本でもマンガでも小説でもない不思議な書物といっていいかもしれない。大人から子どもまでその不思議さを堪能して欲しい一冊だ。
◎関連エントリ
・アイナール・トゥルコウスキィ:『まっくら、奇妙にしずか』(河出書房新社)
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