栗原幹雄:『面白いことをとことんやれば、「起業」は必ずうまくいく。』(アスペクト) [book]
面白いことをとことんやれば、「起業」は必ずうまくいく。 フレッシュネスバーガー社長の現場的発想法
- 作者: 栗原 幹雄
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ハンバーガーショップはいろいろあれど、当方の最も好むショップはフレッシュネスバーガー(以下フレッシュネス)。ライムソーダがおいしいとかビールが売っているとかもあるが、ホットドッグがおいしいからというのがその理由。
はじめて食べたときは、当方の好きなオニオンとピクルスのみじん切りが山盛でびっくりしたものだ。ただ、食べにくいし、オニオンもピクルスも苦手な人口はそれなりに多いはずだからよくぞメニューにあるなと不思議に思ったものだ。
内容(「BOOK」データベースより)
「ほっかほっか亭」の創業者の一人でありながら、「面白いことをやりたくて」退社。たった一人で、「フレッシュネスバーガー」を創業した栗原幹雄氏が語る、独創的な仕事術。
さて、本書の著者はそのフレッシュネスの創業者であり現社長。あの「ほっかほか亭」の創業の一翼を担った人でもある。じゃあ、フレッシュネスはその傘下にあるのか、というとまったくちがうのだ。
そのあたりは、創業の経緯を綴った第一章に詳しい。ほっかほか亭1,000店の出店という一区切り、取締役となっていた著者は、それまでがむしゃらに働いてきたのが、いつのまにか仕事が会議だけになったことに気づく。
そんなある日、渋谷の「なにをやってもだめ」な物件を紹介される。実際に物件をみに行った著者は、ここにハンバーガーショップをつくったら、とひらめく。帰宅後に徹夜で店舗の青写真を引いた著者は、ついには私財を投じフレッシュネス一号店を出店したのだ。
ここまででも充分におもしろいのだが、さらにすごいのはここで店を他人に任せず自分で切り盛りしたことだ。昼は会社の役員、5時を過ぎたらハンバーガー屋のおやじになるといったところ。また、当然のことながら日中は本業があるので、ある人物にその時間帯の支援を要請したところ、その人物が出した条件というのもおもしろかったりする。
ここまで読むと、相当にパワフルな人物を想像するだろうし実際そうなのだろうが、筆致から受ける印象はあくまで飄々としたもの。成功することに対しての貪欲さはほとんど感じられないのだ。実際、投じた私財8,500千円のうち、預金した500千円の資金が尽きたら潔く撤退するというルールさえつくっている。
会社の取締役というバックボーンがあったからという声もあるだろうが、だったらそんな冒険なぞせずにいたって安逸な生活を送れたはずだ。それでも出店したのは、やはり自分がやって楽しいことや夢を顧客に提供しよろこんでほしかった、という著者のスタンスが強固だったからだろう。
その他、メニューなどについては半分に嫌われてもいいという考え方がある。なるほど、冒頭に申し上げたホットドッグなどその良い例かもしれない。
この手の書籍にありがちな、成功談を自慢げに語るアクのないところが好もしい。もちろん、いわゆるビジネス書という括りだが、フレッシュネスが好きな人は読んでおいて損はない一冊だ。
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