池上彰:『そうだったのか!アメリカ』(集英社) [book]
ハリウッド映画を鑑賞していて思うのは、米国の歴史や文化を知っていればよりおもしろく観られるんだろうなあということ。大作映画は、そんなドメスティックな要素は少ないのかもしれないが、単館で上映されているような地味な作品なんかでは、やはり細かい部分で理解し得ないところがあったりするからだ。
内容(「BOOK」データベースより)
「私はアメリカが嫌いです。私はアメリカが大好きです。そんな矛盾した気持ちに、どう折り合いをつければいいのか。そんなことを考えながら、この本を書きました」―ジャーナリスト池上彰が、自身あこがれと反発をいだく国、アメリカの歴史と現状を、独自の9つの視点からわかりやすく解説する。超大国アメリカを知るための教科書決定版。文庫化にあたり、「オバマ以降のアメリカ」を大幅加筆。
本書は米国のマクロな特徴(宗教観・経済・戦争・移民問題など)が、その建国から現代までにどのように変遷してきたかをわかりやすく説明した解説書だ。だから、冒頭に申し上げたような米国の生活史のような側面を期待して読むと少し違うかもしれない。
とはいえ、映画鑑賞の際に役立ちそうなトリビアルな知識もある。ニューヨーク市警の警察官にアイルランド系の人が多いのはなぜ、とかね。また、世界経済に対する同国のスタンス(真珠湾攻撃直後に戦後の世界経済の青写真を描き始めている!)に関する記述など興味深い。
著者は基本的に入門書的な書き方をしているので、本当はもっとややこしい複雑怪奇な世界があるんだろうが、もっと深く掘り下げたい人は巻末の参考文献を読んでいけばいいだろう。米国の近・現代史に興味があり、比較的手軽に読める内容のものを探しているようであればお奨めできると思う。
コメント 0