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スティーヴン・L・トンプスン:『A‐10奪還チーム出動せよ』(早川書房) [book]

A‐10奪還チーム出動せよ (ハヤカワ文庫 NV ト)

A‐10奪還チーム出動せよ (ハヤカワ文庫 NV ト)

  • 作者: スティーヴン・L・トンプスン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/09/05
  • メディア: 文庫

本が好きな人なら一度はしてしまったことがあるだろう。買ってあるのにもう一冊買ってしまったこと。むろん、当方はある。無意識にやってしまったことのはもちろん、意識的に、あの本はもう見つからないだろうという理由で。実は本書は、もしかしたら買ってあって、しかも読んでいるかもしれないと思ったものの買ってしまった一冊だ。


内容(「BOOK」データベースより)
冷戦下のドイツ。アメリカの最新鋭攻撃機A‐10Fが演習中にミグ25に襲撃され、東ドイツ領内に不時着した。A‐10Fにはパイロットと機を一体化させる極秘装置が搭載されていた。現場に赴いたアメリカ軍事連絡部“奪還チーム”のマックス・モスは装置を回収する。が、高度にチューンナップされた彼のフォードを、東ドイツ人民警察のBMW、ベンツとソ連の攻撃ヘリが追ってきた。緊迫のカーチェイスを描く冒険小説の名作。

幸いにして、買っても読んでもいなかった。そして、とても愉しめた一冊だったのでとても満足している。本国では1980年の出版だから、もう30年前の作品だが古びていない。というか、エンタテインメントってこの30年、それほど進化しなかったのでは、とも思わせるほどだ。

もちろん、東西の冷戦構造下で米国人=善玉、露・東独人=悪玉という図式が単純でわかりやすいというのはあるだろう。現代の世界の対立構造は、それほど簡単に善玉/悪玉の区分を許さないのだから、一方的に比べるのは短絡的だろう。

冷戦下の東西ベルリンに、米国とソ連の飛び地的区域があるというアイデアを核に描かれる物語も、多くの場面で、これはどこかで読んだ(観た)ことのあるシーンだなと思わせ、新しさはないのかもしれない。A地点からB地点までモノ(人)を運ぶ、というのも『深夜プラスワン』という大先輩がいて、重なる部分も多いと思う。

まるで貶しているようだが、それでも本書を愉しめたのは細かに描写されるカーチェイスシーンが秀逸だから。また、前半のクライマックスシーンであるA-10"サンダーボルトⅡ"とミグ25"フォックスバット"の空中戦描写も素晴らしい。著者はもともと自動車雑誌の編集者だったらしいのでメカニズム描写は手馴れたものだったのだろう。

飛行機や車が出てくるエンタテインメントがお好きな人にはお奨めしておこう。シリーズは本書を含め全4冊が出ていたので、あと3冊が復刊されたら読むつもり。早川書房さん、ぜひお願いします。


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