井上理:『任天堂 “驚き”を生む方程式』(日本経済新聞出版社) [book]
任天堂のDS Liteを所有している。買った当初は別居人とマリオカートで対戦したりもしたが最近はお蔵入りになっている。どうも当方とゲーム機器の相性は悪いらしい。PSPもPSXも持っているが、夢中になってやったのは 塊魂くらいかな。
内容紹介
任天堂はなぜ強い? WiiとDSのヒットで最高益を更新。不況下でも快走を続け、今や米アップルなどと比較されるイノベーション・カンパニーとなった任天堂。独創的な商品開発の舞台裏、“驚き”を生み出す仕組み、創業から受け継がれる哲学など、同社独自の「突き抜けた強さ」の秘密を解き明かす。製品広報や投資家向けIR以外、徹底した情報統制が敷かれ、関連書もわずかしかない中、岩田社長、宮本専務、山内相談役ほか経営トップらに直接取材を行い、これまで公にされてこなかった同社の経営の中身に迫った初の本。
ゲームキューブが発売されたとき、一部のPC雑誌では開発のしやすいPower PC系のCPUを積んでいることやPB-SRAMの採用などが話題となっていた。その際に岩田社長のインタビューを読んでいて、どことなく雰囲気のある経営者だな、とは思っていた。
当時の考え方(ゲーム離れへの危機感)をキープしゲーム人口拡大を目指すというビジョンは、その後のDSやWiiのヒットで達成されたといえるだろう。 一昔前は、女性が電車で携帯ゲーム機をいじっているなんて考えられなかったもんね。
本書は、そんな任天堂の今日までに至る道を辿ったもの。端々にわたり示唆にとんだ言葉がありたちまち読了。
(同社のモチベーションが「儲かりたい」ということなのかという質問に対して)
「受けたいんですね、要は人々に。受けたいからやっていて、そしてその受けてくれるお客さんの数が多いほど、私たちは自分たちの仕事の達成感が大きくなる(後略)。」
岩田の頭には、娯楽品は生活必需品とは違い、厳しい目にさらされている、という意識が強烈に植え付けられている。
「僕らは基本的にずっと役に立たないモノを作ってきました。役に立たないモノに人は我慢しない。説明書は読まない。わからなければ全部作り手のせい。(後略)」
事業なり経営なりがうまくいくというのは、わかりやすく言えば「信頼」とか「信用」とか金では買えないものを積み上げていくことが必要なんだな、と思う。それは同社製品の堅牢な造りに対するこだわりやサポート体勢についてもいえるんだと思う。
一応、ビジネス書カテゴリとは思うが、任天堂という企業やゲーム全般に興味のある人が読んでもいいと思う。読みやすくわかりやすい文章だし。お奨めできると思うぞ。
コメント 0