辺見庸:『しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか』(大月書店) [book]
んー。なぜだかわからないが人文・社会系の読書が続く。当方の心象の顕れなのか。何か悩んでいるのか。この地は日照時間の少ない。そんな今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。なんて言ってるうちは大丈夫か。
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内容(「BOOK」データベースより)
大反響のNHK・ETV特集を再構成、大幅補充。金融恐慌、地球温暖化、新型インフルエンザ、そして人間の内面崩壊―。異質の破局が同時進行するいまだかつてない時代に、私たちはどう生きるべきか。「予兆」としての秋葉原事件から思索をはじめる。
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なにしろのっけからこんな文章で始まるのだから、そのシンクロニシティの凄さといったらない。
少なくともマスメディアでいわれている「危機」とか「破局」とかいうのは、じつはあまり整理されていない。一般的にいわれているのは金融危機であったり、経済恐慌であったりするわけですが、そうかと思えば新型インフルエンザのことをいってみたりもする。それから、だれの目にも明らかなのは気候変動、地球温暖化の問題です。あるいは、日本では自殺者がとどまるところを知らない。一一年連続で毎年三万人以上という、まるで戦争規模の自殺者を生んでいるということもある
ここ数日の当方の読書を目撃されてしまったかのような文章だ。逆に言えば、当方のいるこの地方やその置かれている社会・経済環境が、このような読書傾向を招いているのだろうか。何しろ、秋葉原の事件も言及されているのだから。
閑話休題。読んでいると著者の現代社会に対する深い諦念に苦しくなってくる。最終章では、それでも希望はある、という記述はあるがそれも本当に希望なのかどうだか判然としない。
今の時代にある(あまり使いたくない言葉だが)閉塞感は何に起因しているのか。ここ数日間の読書で回答があるはずもないのだが、やはり常に問いかけることが必要だ。なぜこうなってしまったのか。そして、こうなったことに対して自分はどのように関わってきたのか、あるいは関わっていくのか。
いや、すまない。文学少年気取りの中学生が書くような文章だ。今は反省している。どんな人にお奨めできるかよくわからない書籍だが、なんとなく現代社会に違和感を感じている人は手に取ってみてもいいかもしれない。
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