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平川克美:『経済成長という病』(講談社) [book]

経済成長という病 (講談社現代新書)

経済成長という病 (講談社現代新書)

  • 作者: 平川 克美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 新書

ここのところ当方のblogにこられる方の検索ワードに「平川克美」,「彼を二度愛したS」,「ミレニアム」などが多くみられるようになった。順に『経済成長という病』発売、レンタル開始、続編の発刊が要因と言えるだろう。通読されている方は、これもまたご存知の通り、ろくなレビューをしていないわけでお恥ずかしい限りではある。


内容(「BOOK」データベースより)
金融危機は何を意味するのか?経済は成長し続けなければならないのか?なぜ専門家ほど事態を見誤ったのか? 何が商の倫理を蒸発させたのか? ビジネスの現場と思想を往還しながら私たちの思考に取り憑いた病と真摯に向き合う。


図らずも講談社現代新書が連続となった。一時期より新書の質が落ちてきた感はあったが、結論から申し述べると本書はぜひ読んでいただきたい新書の一冊であると思う。というか、上半期の当方のベストの一冊と言っていいと思う。

とはいえ、何がおもしろいのか・良かったのかについて具体的に申し述べるのは少し苦しい。一応は「経済成長」が望みえない時代にそれに縋わざるをえないこの社会の誤謬に言及している書物であると理解した。しかし、著者の言説はあっちにふらふらこっちにふらふらで読者に対してしっぽを掴ませない。

このしっぽを掴ませない話術がすばらしいと思う。わかりやすくみえる事物にこそ、実はわかりにくさが潜んでいるのであって、だから慎重に考えること。そんな風に著者は言いたいのかもしれない。言い換えば、わかりにくさを糊塗するためのわかりやすさは、往々にして何かしらの欺瞞を含んでいる、ということか。

うわ。読み返すと何を言いたいのかまったくわからない。末期症状だな。まあいいや、とりあえず気に入った文章を以下に引用するので興味のある方はご一読を。

(前略)新自由主義といわれる経済政策が推進された時代というものが何であったのかについて、私が自分をどこに位置づけ、どのような思いを抱いてきたのかについて記すことで、この時代の「内的な必然」が浮かび上がるかもしれない
(中略)
私たちはなんらかのよく見えない必然について、もう少し注意を払うべきであり、意識的であってもよい。
(中略)
私の言う「内的な必然」を考えることは、私たち社会のメンバー全体がそれぞれの意図はどうあれ、これらの「事件」(秋葉原無差別殺傷通り魔事件など※引用者注)にどこかで加担してきたことを確認する作業になるはずである。

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