本多孝好:『チェーン・ポイズン』(講談社) [book]
2007年の自殺者数は3万3093人で1998年以来10年連続で3万人を超えた、とのこと。モナコの人口が2004年時点で32千人だから、この10年は毎年モナコ公国の人口くらいの人間が、日本では自殺で命を絶っているということか。世の中はやはり生きにくくなっているんだろう。
[BOOKデータベースより]
誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた―。新境地を開いた驚愕のミステリー。
ミステリと銘打っているとおり、著者は読者に対して2つほど仕掛けを施している。そのうち1つは物語の中盤ですでに予想できるもの。そういう意味ではミステリとしての意外性には乏しいといえる。
が、著者が訴えかけているのは実はそんな要素だけではなく「人間はひとりでは生きていけない」という単純だが強固な主張だと思う。
死を待望する孤独な女と、不可解な連続服毒自殺の連鎖を追いかける週刊誌記者のエピソードが並行して描かれる。いずれのパートの主人公も、そして他の登場人物たちもそれぞれの孤独や不安、絶望を抱えながら生きている。
そんな登場人物たちの物語はありきたりな感は否めない。けれど読了して感じたのは、読んでよかったな、というもの。人間の再生の物語として素直に感動できる小説としてお奨めできる。
一年。。ご褒美って何かしら。。
by duke (2009-01-21 18:50)
読んでからのお楽しみですw
当方は好きな部類の小説です。
騙されたと思って読んでみてください。
nice!&CMTありがとうございまする。
by 地蔵 (2009-01-22 22:11)