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古川 琢也,『週刊金曜日』編集部:『セブン‐イレブンの正体』(金曜日) [book]

セブン‐イレブンの正体

セブン‐イレブンの正体

  • 作者: 古川 琢也
  • 出版社/メーカー: 金曜日
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本

訳あってコンビニエンスストア(以下CVS)のことを調べている。24時間営業に関することだ。当方は早寝早起きなのでCVSが24時間営業をやめたってとんとかまわないのだが、世の中はそんな人間だけではないわけだ。

真夜中まで残業している人たちが自宅でほっと一息の夜食を食べるときや、明日出張だっていうのに洗濯し忘れていた靴下を買うのにだって便利だし。そういう意味ではなくてはならない、とまではいかないけれど、あったらかなり便利、というインフラになっているんだと思う。

そうそう、当方の乱暴なシミュレーションではCVSが24時間営業をやめた場合、売上高が減少するのでもちろん営業利益の額は減少するが、一方で率は向上するという試算が出た。17%ぐらいの減収なら営業利益率はトントンくらいか。いや、乱暴な試算なので信じないでください...

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[BOOKデータベースより]
年間2兆4000億円を売り上げる世界最大のコンビニチェーン・セブン‐イレブン。その高収益の「裏側」はタブーで塗り固められ、大メディアで取り上げられることは決してない。消費者が知らない“流通の覇者”の実像に迫った。

1 “本部一人勝ち”の金儲けのカラクリ;
2 加盟店からの不当ピンハネ疑惑;
3 人気商品「おでん」の裏側;
4 「オーナーを監視せよ」黒い社内体質;
5 使い捨てられる取引業者たち;
6 四六時中見張られる商品配送ドライバー;
7 “鈴木敏文王国”に屈する大メディア;
8 意見封じられる「24時間営業」問題

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目次をみると、いかにも、というスキャンダラスな見出しが並んでいる。内容を読んでみるとわかってもらえるだろうが、淡々とした筆致で記述されていてそれ自体は好感が持てるので、目次ももう少し冷静なものでよかったのではないか。

大量の食品の廃棄の原因となる特殊な会計制度、おでんが意外に手間がかかり利幅も薄いこと、配送や仕入先に対する苛烈な要請などが取材により明らかにされていく。一方で同社で働く人々の労働条件も厳しいらしいことが記述されている。

思ったのは、これじゃ誰もハッピーになってないじゃないか、ということ。冒頭にも書いたように、確かにCVSは便利だし既にあって当たり前の社会になっているけれど、「お客様のために」がこれだけ人々に負荷を強いているのかと思うと、ちょっとくらい不便だっていいじゃないか、と思ったりする。

あと、この本だけで同社を「悪の帝国」と判断するのも早計だし危険だ。企業とか法人はやはりシステマティックに動いていて、それに対して単一・単純な悪意が総意を動かす、という図式は考えにくいからだ。

当然のことながら、一人一人の普通の人間は実はそれほど邪悪な意思は持ち得ない。だから、こういう本を読んでいつも思い出すのは「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉だったりするのだ。


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