島田裕巳:『新宗教ビジネス』 [book]
何回か申し述べていたかもしれないが当方は無神論者だ。敬虔な気持ちにならないわけじゃないが、新旧とも宗教にはおカネの匂いが漂っていてどうも好きになれない。いや、もちろん言いがかりであることはわかっている。でもそう思えて仕方がないような胡散臭さを内包してきてしまったという責任はあると思うぞ。
言うまでもなく当方も弱い人間であり神仏に頼るということもあり得たのかもしれない。でも、そうしなかったのは、誤解を承知で言うと宗教というものが抱えるある種の胡散臭さがあるからだと思う。もっと言うと、胡散臭いことは大好きなのだが殊に宗教に関わる胡散臭さは耐えられないタイプなのだと思う。
[BOOKデータベースより]
新宗教はどんなテクニックで金を集めるのか?人の心を操って100億円のカネを集める謎の組織。テレビ・ショッピング、セールス・トーク、ネットワーク・ビジネスとの意外な相関性。創価学会、真如苑、阿含宗、大本、天理教など、巨大教団のヴェールに包まれた「ビジネス・モデル」の正体。
第1章 新宗教に集まる莫大な金;
第2章 なぜ宗教法人は課税されないのか;
第3章 創価学会のビジネス・モデル;
第4章 多様な新宗教のビジネス・モデル;
第5章 なぜ新宗教に金が集まるのか;
第6章 新宗教ビジネスの抱える問題;
第7章 新宗教ビジネスは実際のビジネスに使えるか?
本書の白眉は意外にも第2章の「なぜ宗教法人は課税されないのか」である。いや、実は驚いた。細かくは読んでくださいと言っておくが、なるほど、実は宗教をビジネスとしてみた場合、意外に売上高というか収益性というかそういうものは低いのだなと思った次第。
本来的には第4章の「多用な新宗教のビジネスモデル」が主題なんだろうけど、その部分の分析は浅いというか、もう少しいろいろな事例を出すなどで掘り下げてくれたらもっと良かったかもと思う。ビジネス書、というにはその特殊な題材からすると汎用性は低いと思うが、学術書というにはもう一つ物足りなかったというのが正直なところ。税込1,365円のコストパフォーマンスにはあと一歩だ。
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