『ブラインドネス』 [movie]
●上映時間:122分 PG-12
●配給:2008カナダ.ブラジル.日/ギャガ
●スタッフ&キャスト:
[監督]フェルナンド・メイレレス
[原作]ジョゼ・サラマーゴ
[脚本]ドン・マッケラー
[出演]ジュリアン・ムーア,マーク・ラファロ,アリシー・ブラガ,伊勢谷友介,木村佳乃,ガエル・ガルシア・ベルナル
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視力が両眼とも1.5だ。これだけ本を読んだりPCの液晶画面とにらめっこしているのに、なぜか視力だけは悪くならない。近いうちに老眼はやってくるかもしれないが。それはともかく、だから眼鏡はかけたことがないし近眼の人の世界の見え方ってどんなだかがわからない。どんな世界認識なんだろう。
[ストーリー]
ある日本人青年の視界が突然真っ白になった。その原因不明の奇病は世界中に爆発的に広まり、政府は患者全員の強制隔離を決定する。やがて収容所に集められた患者たちは、人間の弱さやみにくさをさらけ出していく。
結論から申し上げるとヒジョーにイヤな映画だ。だから精神的に弱まっているときに鑑賞するのはお奨めできないし、そもそもイヤな思いをしに映画鑑賞したくないという方は観ないにこしたことはない。
もちろん、ヒジョーにイヤな映画が非常に駄目な映画とは言えない。過半の人が視力を失ったら世界はどのようになるか。そんなシチュエーションをただ一人"見える"女性の視点で描くというアイデアはありそうでなかったものだ。そしてその世界はさもありなんという説得性に溢れている。
多くの人がそう予想するように、その世界は"見える"ことが悲しくなるくらいに絶望的な世界となる。特に主人公たちが彷徨う都市の風景はリアリティを持って迫ってくる。うーむ。それにしてもあれだけのゴミを用意するのもそうだが、後かたづけが大変だったに違いない...
閑話休題。中盤以降で都市を彷徨う視力を失った人たちがまるでゾンビのようにみえる。特に食料を持った主人公に群がるシーンなど相当に怖い。だから本作は広義のゾンビ映画ともいえるかもしれない。ゾンビ映画が社会の不安や閉塞感を映し出すものだというのは先般のエントリでも申し述べたばかりだ。
俳優陣はいずれも存在感がありまくり。特にダニー・グローバーがすごい。特にすごい役柄というわけではないがすごい。ガエル・ガルシア・ベルナルが悪役。悪役には少し線が細いかな。アリシー・ブラガは『 アイ・アム・レジェンド 』に出演していました。
再三になるけど、気の弱い向きや疲弊している人は避けたほうが無難。デートにも向かないと思う。相応の気合いを以て臨むべし。
◆原作はこちら
- 作者: ジョゼ・サラマーゴ
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2008/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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