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須田慎一郎:『ブラックマネー』(新潮社) [book]

ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む

ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む

  • 作者: 須田 慎一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本

とうとうと言うか、いよいよと言うか、上場企業の倒産が過去最高だった2002年の水準に並んだ。業種では不動産・建築関連で且つ不動産の流動化などを手がけている企業が目に付く。言わずもがなだが、サブプライムローンの影響でこの手の投資を"手仕舞い"した外資の影響が大きいと推測される。

買ってから気づいたんだけど、著者の作品は『 下流喰い―消費者金融の実態 』を読んでいた。細かいところは忘れちゃったがおもしろく読んだ記憶がある。そんなわけで本書も相応の期待を持ちながら読み進める。

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[BOOKデータベースより]
新興証券市場を舞台としたインサイダー取引や仕手戦、都心部のミニ不動産バブルで復活した地上げビジネス、中小企業融資をめぐる数百億円単位の巨額詐欺事件、ますます巧妙に偽装されるフロント企業―。しかし、暴力団の経済活動はこれら旧来のシノギに留まらない。最新のヤクザビジネスの実態に迫った驚愕のレポート。
第1章 ヤクザマネーの奔流(裏カジノとトレーディングルーム;恐るべき「情報力」と「資金力」 ほか);
第2章 不動産ミニバブルの影で跋扈した闇勢力(有名料亭の奇怪な土地売却話;五〇坪の土地をめぐる争奪戦 ほか);
第3章 闇勢力に食い潰された新興市場(「最後の大物仕手筋」側近の怪死デジャ・ビュ;闇社会との接点となった「ブラックボックス」 ほか);
第4章 巨大銀行を狙う闇勢力(魑魅魍魎の中心に記されたメガバンク;メーンバンクが買収資金を提供するという異常事態も ほか);
第5章 「黒い目の外資」とヤクザの奇妙な共生関係(様々な金融ノウハウとテクニックを提供か;プライベートバンクという迷宮 ほか)

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読了してもっとも興味深かったのが新興市場に上場した企業と闇勢力の繋がり。当方からすれば上場企業は立派な企業の代名詞のような感じがしているのだが、違法すれすれのグレーゾーンに踏み込んでいる企業もあるのだとわかる。怖いものだ。

もう一つおもしろいのは著者の銀行に対するスタンス。近年のミニ土地バブルやスコアリング融資など、銀行のモラルや審査スキルが低下傾向にあることを嘆いている。バブルの崩壊で得た教訓を銀行は「喉元過ぎれば熱さを忘れ」てしまう。まあ、これはどこの企業も同じなんだろうけどね。

副題にある「20兆円闇経済」の20兆円がどこに行ってしまうのかまでの説明はないが、そこに至るまでの現状を解説してくれる好著。読みやすい文章にも好感が持てる。


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