夢枕獏:『東天の獅子 第1巻 天の巻・嘉納流柔術 (1)』,『第2巻 天の巻・嘉納流柔術 (2)』 [book]
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[BOOKデータベースより](第1巻)
柔術から柔道へ―文武二道の達人、嘉納治五郎の、技に対するたゆまざる追究と人間教育への情熱によって、明治になって衰退していた柔術界に新時代の息吹「講道館流」が誕生した。当初はただの新興一流派だったものが、「講道館四天王」らが頭角を現し、隆盛への道をその手に引き寄せていく。若き気概に充ち満ちた青春武道ロマン
[BOOKデータベースより](第2巻)
名門として聞こえた、関東の揚心流戸塚派、さらに九州古流柔術界の猛者たちが続々と登場する、群狼邂逅の第二巻。講道館が創設された明治十五年、九州では久留米、熊本の二大勢力が激突した。運命の「警視庁武術試合」より前に、すでに各地で新時代への胎動が起こり始めていた。講道館は、まさに台風の目となりつつあった―。
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シリーズものの1,2巻。とりあえず完結がみえているので「キマイラ孔」シリーズのように当方が死ぬまでに結末が読めるか否か心配しないで済みそうだ。
さて本書は講道館を創設した嘉納治五郎を中心人物に据えている。嘉納治五郎が古来からの武術や武道を統合・再構成したうえで柔道を造りだしていったことはもちろん知ってはいたが、なんと東大を卒業し学習院大学の講師まで勤めていたとは知らなかった。まさに文武両道の人だ。
史実を基にしているとはいえ人物解釈は夢枕獏風の味付けがされているので、評伝とかノンフィクションノベルというわけではなくフィクションとして読んだほうがいいだろう。たとえば後の姿三四郎のモデルとなる保科四郎は菊地タイプ、後に大東流合気道を創設する武田惣角は宇奈月典善タイプ。いまに龍王院弘タイプも登場するに違いない...
閑話休題。今回の第1,2巻は次巻の警視庁武術大会への道筋をつけるという位置付け。したがって今後の新キャラクターの登場や試合の描写など盛り上がりが期待できる。11月には3巻目が発売されるとのこと。鶴首して待つことにしよう。
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