ニコラス・ストレンジ:『グラフで9割だまされる』(ランダムハウス講談社) [book]
グラフで9割だまされる 情報リテラシーを鍛える84のプレゼン
- 作者: ニコラス ストレンジ
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2008/08/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
先日の『グーグーだって猫である』のエントリを読んだ友人から「とりあえず大島弓子のファンじゃなければよくわからない、と言いたいことだけはわかった」という感想をもらいヘコんだ。いや、文章がうまいなんてこれっぽっちも思ってないし、言いたいことの半分も書けてないなあという自覚はある。だが、それほどわかりにくい文章を書いているとは...orz 反省しきりだ。
さて本書を手に取った理由は、たとえば下記のようなグラフを見ていただくと分かりやすい(使用ソフト:MS(r) Excel97)。
<グラフA> <グラフB>両方のグラフとも、まったく同じ数値の変化を時系列に表現したものであることはおわかりいただけると思う。にもかかわらず<グラフB>のほうが下落幅が大きく見える。<グラフB>は縦軸の目盛りが50から始まっているので、落ち幅が大きく見えるということだと思う。たとえば、ある取組みで「~を、これだけ削減した」ということをドラマチックに見せたいときは<グラフB>を用いる。逆にあまり減ってほしくないものが、ゆるやかに減少しているだけ、という印象を与えたいときは<グラフA>を使ったりする。会社員で普段から資料を作っておられるような方には初歩的なテクニックといえるだろう。
で、上記のようなテクニックを、本書が実用的に教えてくれるという期待はそれほど持ってはいなかった。しかし、なぜこんな印象を与えることができるのか、という解説ぐらいはされているだろうという期待とともに読み始める。その期待は別の意味で裏切られた。
文章がよくわからないのだ...orz
一例を挙げると下記のような文章。「地雷を生産していることがわかっている国の数」の図表化に関連したもの。
(前略)地雷は経済があまり発展していない国でも生産しやすく、1世紀以上も前から戦争関連法で禁じられているダムダム弾や竹槍よりも民間人に被害が及びやすいこともある。(後略) |
※ダムダム弾とは先端に十字に切れこみが入った形状をした弾頭。着弾の衝撃で弾頭が体内で割れることにより、深刻なダメージを与えることを目的としている。不要な傷口の大きさから「非人道的な兵器」として1907年のハーグ会議(ハーグ陸戦協定規定)によって使用が禁止となったが、実際はその後も使われていた。
構造としては
[地雷は発展途上国でも比較的簡単に生産できる]
+
[したがって(?)民間人に被害が及びやすい]
+
[以下の二つと比べるとさらに、である]
+
[1.1世紀以上も前から戦争関連法で禁じられているダムダム弾]
+
[2.竹槍]
で、なにがわからないかというと以下のようなことだ。
- 発展途上国で地雷が生産しやすいことで、なぜ民間人に被害が及びやすいのかよくわからない。
- 地雷との比較対象がダムダム弾と竹槍であることがよくわからない。
- 一度だけしか読まないと、竹槍も戦争関連法で禁じられているように読める。実際に禁止されているかは調べたがよくわからない。
ようするに色々と錯綜したレベルのものが一つの文章の中で比較・対照されているわけだ。これはわからん。訳者の苦労が偲ばれる。この例文は、少し本質とは離れた記述だけど、本質と重要に関わる文章なんてさらにわからん。結局、なにがなんだかわからんまま読み終えたのであった。いや、もちろん当方の読解力がないからにちがいない。うん。ほんとに。難しい文章の読解力が高い人にしか奨められない。正直。
コメント 0