『アイアンマン』 [movie]
上映時間：125分
配給：2008米／ソニー
スタッフ＆キャスト：
[監督][製作総指揮]ジョン・ファブロー
[脚本]マーク・ファーガスほか
[出演]ロバート・ダウニー・ジュニア，テレンス・ハワード，ジェフ・ブリッジス，グウィネス・パルトロウ
再三にわたり申し上げている通り、当方は年間100本程度の映画を劇場で鑑賞するが、いわゆるパンフレットの類を購入するのは年に二，三回ほど。これ以上、部屋に紙が増えるのは困るからだ。いや、確かに髪は減ってきてはいるが、それは別の話だ。
自虐ネタはともかく。本作についてもパンフは購入しなかったのだが、どうやらそれにはアイアンマンのスペックが掲載されているらしい。同じ内容をwebで見っけたので確認してみよう。
- 「身長」 ──185センチ(スーツ装着時198センチ)
- 「体重」 ──102キロ(スーツ装着時192キロ)
- 「右アーム」 ──対戦車ミサイル搭載
- 「両手」 ──リパルサー光線(破壊力を持つ特殊なレーザー誘導粒子線)放出装置
- 「足」 ──超小型ジェット機能搭載、飛行速度マッハ8
- 「スーツのパワー」 ──3トンのものを持ち上げる怪力
当方が注目したのはマッハ8の飛行能力だ。
印象的なシーンの一つに戦闘機と並列して飛行するアイアンマンがエアブレーキをかけ急減速するというものがある（予告編にありました）。さて、このシーンが実際のものだったらどうなるだろう、というのが本日のネタ。
戦闘機の巡航速度はマッハ1を下回る速度のようだ。というか戦闘機動をしていてもマッハ1を上回ることはあまりないらしい。まあ、軽く考え、仮に超音速で飛行していた場合どういうことが起こるか考えてみよう。音速は340m/s、そこから仮に1秒で半分の170m/sに減速したときのGを算出してみる。1sで340ｍ/sの物体が170ｍ/sまで加速（減速）したことになるわけだ。これはそのまま170m/s^2に相当（だと思う）。重力加速度は9.8ｍ/s^2だから、この減速の加速度は17.3G。人間が耐えられるGの限界は10G程度ときいている。なので、いかにアイアンマンのハードウェアが耐G装備をしていようが、17Gでは装着した人間は耐えられまい。大Gのかかる急制動でレッドアウトどころか首がポッキリいってしまいそうだ。
きっちり計測したのではないから当てにならないけど、鑑賞して受けた印象では減速の度合いはスピード・時間とも、もっとすごいものだったと思う。なので、下手をすると30G近い減速Gがかかってもおかしくなさそう。その場合、装着したトニー・スタークはひとたまりもない。全身骨折、内臓破裂であの世行きとなるか。うーん、危険すぎる。。。当方は装着したくないなあ。
※計算が間違ってたらゴメンナサイ。
その他、空気中をマッハ8で飛行したら衝撃波もばかにならない。アイアンマンのような体型であればなおさらだ。このあたりは柳田理科雄氏の『空想科学読本〈1〉 』でウルトラマンを例にした論考が詳しいので興味のある向きはご一読を。
ちなみに世界最速の飛行機はマッハ9.8を出したNASAの無人機「X-43」。下図のように平べったいフォルムになっているのは、自らが発生する衝撃波を回避するためと推測される。
...あれれ、なんでこんな話になったんだろう。
さて本作だが、荒唐無稽なストーリーをディテールの積み重ねでそれらしくしているという点が好もしい。帰国したスタークがアイアンマンを造る際のマンマシンインターフェースの描写なんてよく考えられているし、飛行するアイアンマンにベイパーコーンが発生する描写などとてもマニアック。序盤から結末が読めてしまうストーリーのわりにはばらまいた伏線をきちんと回収していくなど、意外と丁寧、且つ作り手の意気込みが垣間見える作品だ。アフガニスタンに対してのスタンスなど気にくわない点はあるが、同じアメコミ映画でも『ダークナイト』では胃もたれしてしまうというタイプの人には肩の凝らない娯楽作品としてお奨めできる。そうそう、ロボットアームの「不器用」クンがいい仕事してるぞ。
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確かに、戦闘機に追いかけられて逃げていたので、相当なスピードだろうとは思っていましたがマッハ8も出ていたとは、衝撃的な速度ですね（笑）
私は、あのキューピーのような飛行ポーズを微笑ましく見ていました。ロボットアームの「不器用君」が良い味出していたのは同意です！good boyでしたよね。
by Robita (2008-10-05 20:39)
> 私は、あのキューピーのような飛行ポーズを微笑ましく見ていました。
なんという鋭いご指摘！(笑)
確かにあの格好はキューピーにそっくりですね！
nice!&CMTありがとうございます。
by 地蔵 (2008-10-07 12:24)