石川和幸:『思考のボトルネックを解除しよう!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) [book]
ボトルネックという言葉は、PCを組み立てる人にとっては比較的に慣れ親しんだ言葉だと思う。アウトプットで思うようなパフォーマンスが出ない、というときは全体のポテンシャルを下げてしまう要因があるということ(わかりにくい文章だ)。
たとえば、CPUは高級なものを使っているのに3D性能が芳しくないというときは「ビデオカードにボトルネックがある」なーんて使い方をするわけだ。ちなみに最近のPCはたっぷりのメモリさえ積んでおけばどんなPCでも必要充分なパフォーマンスを発揮する。10年前からすると驚くような高性能になった。余談だけどね。
さて、本書は最近の流行の「~勉強法」的なものと一線を画していて、ビジネス書というよりは啓蒙書に近いと感じた。
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【内容紹介】
一般に、仕事の場で頭がよいといわれるのは、どういう人なのか? 自分自身の仕事の場での頭をよくしていくには、どこをどのように高めていったらいいのでしょうか? 本書では、頭の良さは、情報(マテリアル=情報量)×手法(メソッド=思考法)×技能(スキル=訓練)によって決まると定義しています。そして、制限を加えている部分=ボトルネックを見つけ、 それを解除することによって、本来もっている能力を最大限に発揮していくこと、それが本書の目的です。
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おもしろいのは「ボトルネックは移動する」というもので、どこかのボトルネックが解消されたら別の部分がボトルネックになるというもの。これって当然といえば当然だけどなるほどと思わせる。
また、言葉に対する考え方に構造主義的な考え方を導入しているのが目新しい。ソシュールが出てきたりするビジネス書ってあまりないと思う。言葉が世界を規定する、という考え方は当方も従来から持っており共感できる部分だ。
こうやったら成功する、という巷に溢れた本を読み疲れた人にお奨めしたい。特に最終章における著者のスタンスは人間としてとても共感できるものだ。大事なのはやっぱり家族と健康ですよね。
思考のボトルネック著者の石川です。
書評、ありがとうございます。
おお、そして、ソシュールの部分に初めて言及してくださった方です。構造主義的な切り込み、ブームの時代が過ぎた今だからこそ、言いやすいし、今でも重要な視点だと愚考しております。
認識論的な話も盛り込みたかったのですが、ちょっと浮世離れしそうだったので・・
年収アップとか生き残りとかを謳う一般ビジネス書と違って、「よく生きる」ための全体の地図みたいな感じで書いてみました。どこまで意図が達しているかおぼつきませんが、これからも宜しくお願いいたします。
そして家族と健康!
by 石川和幸 (2008-09-30 11:49)
石川様
はじめまして。
当方の駄文に著者さま自らコメントいただけるとは身に余る光栄です。
本の終盤では、これはそこいらのビジネス書とは違うな、
と思いながら読んでいました。正直、感動したんですが
弊ブログには照れくさいので書かなかったことが悔やまれます(笑)
構造主義については橋爪大三郎氏の『はじめての構造主義』を
読んで以来、『一般言語学講義』や丸山圭三郎をがんばって読んで挫折した程度ですので偉そうなことはいえないです。。。
コメントをいただいたからというわけではなく、『会社経営の基本が面白いほどわかる本』も購入しています。
それでは、今後ともよろしくお願いいたします。
by 地蔵 (2008-09-30 12:50)