斎藤広達:『サンクコスト時間術』(PHP研究所) [book]
タイトルにある「サンクコスト」の本来の意味は「事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用」というくらいのもの。日本語で言えば「埋没費用」。なんかいいですね、「埋没費用」って言葉。最近ではどちらかというと行動経済学の本で有名な言葉という感じがする。途中まで読んで放ってしまったけど(おもしろくなかったというわけではない)『 行動経済学 経済は「感情」で動いている』でも紹介されていた。
さて本書で紹介されている「サンクコスト時間術」は、「行動を進めるにあたって、その都度に発生する状況を的確に見極め、その状況に応じた最適解を見出し、失してしまった時間を悔やまず細かな修正や舵の切りなおしをする」というくらいの理解をした。あれ、意外にうまく一言でまとめてしまったぞ。
著者は外資系石油会社勤務中にMBAを取得、コンサルタント会社勤務を経て出版社を事業会社に持つ持ち株会社の社長。すごい人もいるもんだと読み進めて行くと、たぶん若い人なんだろうと思い略歴を再確認、うわ、同じ年に生まれた人だよ。共通するのはハンバーガーに対するスタンスくらいだけど。
終盤にあたる四分の一程度は、仕事や人生に対する著者の考え方を述懐している。このあたりが面白いかどうかが本書の評価の分かれ道と思う。
全体的にいまひとつピンとこなかったところはあるが、ところどころに光る言葉があるし、新書版なのでそこそこに投下資金は回収できると言っておこう。偉そうで申し訳ないが。
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