道尾秀介:『シャドウ』(東京創元社) [book]
『ラットマン』、『片眼の猿』に引き続き読了。いつの間にか積み上げてある本のなかにあったもの。いつ頃、どんなつもりで購入したのかまったく思い出せない。今年に入ってから記録をとっているが、購入した本の消化率は約50%。ということは、当方の部屋にある本の半分くらいは読了していないものなのだろうか。おそろしくて統計を取るつもりはないのだが。
さて本書について。内容はニューロティックスリラーという感じで、その昔に読んだリチャード・ニーリィの小説のような趣きがある。最初から最後までバックに不協和音が続く映画を観ているような感じ。特に本作では、登場人物たちの置かれている状況や環境は暗く重い。読んでいて決して楽しい小説ではないことだけは言っておこう。
著者の小説をここ三冊まで読んで共通するテーマと感じているのは、「いま、ここにいる自分に対する不安」について登場人物たちがどう対応していくか、ということ。この心の動きに共感できるものがあるから、今うけている作家の一人となっているのではないだろうか。まあ、勝手な思い込みだが。
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