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2016年02月の読書メーター [a day in the life]

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魚川祐司 :『仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か』(新潮社) [book]


仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

  • 作者: 魚川 祐司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/04/24
  • メディア: 単行本
本書はとある人物が推薦していたので手に取る。地蔵というハンドルネームだからでも、坊主頭にしているからでもない。念のため。

内容紹介
日本仏教はなぜ「悟れない」のか――? ブッダの直弟子たちは次々と「悟り」に到達したのに、どうして現代日本の仏教徒は真剣に修行しても「悟れない」のか。そもそも、ブッダの言う「解脱・涅槃」とは何か。なぜブッダは「悟った」後もこの世で生き続けたのか。仏教の始点にして最大の難問である「悟り」の謎を解明し、日本人の仏教観を書き換える決定的論考。
内容は至ってシンプルで、タイトルにあるように「悟りとは何か」を論証する書籍である。そして、これが滅法おもしろいのだ。そのおもしろさが奈辺にあるのか、自分なりに記述してみることにしよう。

まず第一に、立てられた問いが、”仏教の本質である「解脱・涅槃」とは何であるのか”とシンプルであること。そしてそのシンプルな問いに、論理的に筋道を立てて、平明な文章で説明をされているところがいい。よくできた謎解きミステリを読むようなスリリングさがあるのだ。

次に、仏教に関するトリヴィアルな情報が得られるところ。一例として、仏教用語における「苦」は英訳では"unsatisfactioness"いう単語が使われており、我々が一般的に感じる「苦しみ」とは少し異なることだということ。具体的には「終わりのない不満足」であり、それはまた「輪廻転生」という考え方に密接なかかわりがあること。なるほど、と蒙を啓かれる思いがする。

最後に、「余談」として最終章で語られる仏教の歴史が興味深い。ゴータマ・シッダルタが開教した仏教が、様々な人たちに解釈され2500年を経て、何故なおも我々の世界に影響を与え続けているのかが記述されている。なんだか、オープンソースのOSであるLinuxが、様々な派生ディストリビューションを産み出しながら人々に利用されているさまと相似している(そうなのか?w)。

と、いろいろ書き散らかしたが、本書の魅力を伝えきれていないもどかしさがある。あまりの素晴らしさに図書館で借りて読んだにもかかわらず電子書籍で買いなおしてしまったくらいだ。知的興奮を味わえる良書としておすすめしたい。


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