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2011年05月の読書メーター [a day in the life]

5月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1564ページ

トラウマ映画館トラウマ映画館
読了日:05月12日 著者:町山 智浩
挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
読了日:05月10日 著者:冨山 和彦
鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)
読了日:05月09日 著者:ジャック ヒギンズ
ダークゾーンダークゾーン
読了日:05月08日 著者:貴志祐介

読書メーター
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『英国王のスピーチ』 [movie]

原題: The King's Speech
キャスト: コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース、デレク・ジャコビ、マイケル・ガンボン、ティモシー・スポール、ジェニファー・イーリー
監督・脚本: トム・フーパー
製作国: 2010年イギリス・オーストラリア合作映画
配給: ギャガ
上映時間: 118分

■■■
先般にご紹介した『 鷲は舞い降りた 』のジャック・ヒギンズが、ハリー・パタースン名義で『 ウィンザー公掠奪 』という作品を書いている。当方は未読なのだが、恋を成就させるために王位を退いた前英国王を誘拐するというストーリーだけは知っていた。そう、本作に登場するエドワード8世がその人なのだね。


ストーリー
現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。吃音障害を抱えた内気なジョージ6世(コリン・ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第二次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞。

『ブラック・スワン』に続いて鑑賞したのは、アカデミー賞の主要部門を受賞した本作。あまり鑑賞意欲をそそられるテーマの映画ではないのだが、なにしろね、1,000円で鑑賞できるしスケジュールもほどよく合ってしまったものだから、オンライン予約したわけだ。

うん、よい映画だった。実は感動してしまったよ。鑑賞し終わってから感じたのは、ベタというかストレートな語り口を持った映画だな、というもの。男たちの再生と友情の物語という語りつくされたプロットを、英国風の皮肉なユーモアを交えながらとにもかくにも正攻法で描き出しているからだ。

コリン・ファースの抑えた演技や、ライオネル・ローグを演ずるジェフリー・ラッシュの飄々とした味わい、そしてヘレナ・ボナム=カータのすっとぼけた王妃ぶりなど、いずれもがテーマにプラスに影響していると思った。そしてラストでは、スピーチに向かう三人の姿に素直に「がんばれ!」と声をかけたくなるような清清しさがある。

奇をてらったところのない演出で、どうってことはない内容といえばそのとおりなのだが、それらが堅実に積み上げられたときに不思議な感動が湧き起こってくるのだから映画は本当に不思議な媒体だ。


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『ブラック・スワン』 [movie]

原題: Black Swan
監督: ダーレン・アロノフスキー
キャスト: ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー
製作国: 2010年アメリカ映画
配給: 20世紀フォックス映画
上映時間: 108分


ストーリー
ニューヨークのバレエ団に所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、元バレリーナの母とともに、その人生のすべてをダンスに注ぎ込むように生きていた。そんなニナに「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが巡ってくるが、新人ダンサーのリリー(ミラ・クニス)が現れ、ニナのライバルとなる。やがてニナは自らの心の闇にのみ込まれていく…。

久々の映画だ。どのくらい久々かというと、今年ももはや半分を過ぎようというのに鑑賞数が三本目だ。壊滅的な数字といっていいだろう。まあ、観たい映画が少なかったということはあるが、『ツーリスト』だってスルーしちゃったし、映画鑑賞意欲が薄れてきてしまっているとはいえる。とはいえ、土曜日にTOHOシネマズの日があたったとあらば、これは行かざるをえまい。

4ヶ月ぶりの映画鑑賞の一本目である本作は、配偶者が当地に滞在していた際にテレビCMでも盛んに喧伝していた。なんかね、CMを見る限りでは安手のホラー映画のような印象。そんな印象の作品でナタリー・ポートマンがオスカーを獲ったというのだからなおさら興味深い。

で、結論を申し述べると、当方にはわからない種類の映画であった。ネット上で評判をみる限りでは相当に評価が高いのだが、正直に申し上げると「なんで?」という感じ。プロットが弱いのかね。大役のプレッシャーに押しつぶされそうなバレエ・ダンサーが狂気に呑みこまれていく、というようなものだが、それだけで当方には108分はもたなかった。

もちろん、ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技は怖いほど。ディテールについても、たとえばニナの部屋はなぜあんなに子どもっぽいのかとか、背中の傷は何を意味するのかとか、ほとんどが自宅と稽古場しか舞台にしていないとか、なんだかいろいろと考察すべき点はあるのだろうが、当方には消化できなかった。

本作はほとんど予備知識なしに鑑賞しに行ったので、以前に鑑賞した『 レスラー 』のダーレン・アロノフスキー監督作品とは知らなかった。それよりもね、同監督は『 レクイエム・フォー・ドリーム 』のほうが有名だと最近になって知った。あまり明るい映画を撮る監督ではないんだね。


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ジャック・ヒギンズ:『鷲は舞い降りた』(早川書房) [book]

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジャック ヒギンズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1997/

文芸学部国文科を卒業したくせに、基礎的な読書をしていないことに羞恥を覚えるときがある。夏目漱石は中学時代の読書感想文のために読んだ『こころ』くらいだし、森鴎外や太宰治なぞ読んだことがない。好きなはずのミステリやSFも同様。ミステリではクリスティやクロフツ・江戸川乱歩、SFではハインライン(『夏への扉』さえも!)や小松左京などが未読という体たらくだ。

本書についても、冒険小説は好きなジャンルなのに読む機会がなかった(正確には同じ著者の『脱出航路』や『ヴァルハラ最終指令』は読んでいるのだが)。いまさら何故にというのは、それはつまりは最近の小説がおもしろく感じられなくなってきているから。もちろん、当方が悪ズレしてきているということはあるだろう。けれど、当方が少年から青年時代にかけて読んだ小説は、なんだかもっとコクがあったような気がするのだ。

もちろん、それは気のせいかもしれない。テクニックとか情報などは、むしろ現代の小説のほうが優れているようにも思える。しかし、そそろそいい年になってきたこともあるし、残りの人生に読む本の三分の一くらいは名作といわれる小説を読むのもいいかもしれないと一念発起したのだった。


内容(「BOOK」データベースより)
鷲は舞い降りた! ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった! イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…。使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。

著者のジャック・ヒギンズの出世作であり代表作であるとともに、冒険小説の金字塔と言われている作品。ところがどっこい、読了して感じたのは「これは冒険小説ではないな」というもの。別にくさしているわけではない。いくつか気になる点を除いては充分に愉しめるエンタテイメント作品には違いない。

冒頭では、梗概にあるノーフォークの寒村に別の取材で訪れた著者本人が語り部として登場、そして登場人物たちのその後を語るエピローグ部分にも再登場する。入れ子構造によるメタフィクショナルな効果を期待して、などというものではなく、「虚実皮膜」のありえたかもしれない歴史を描くフェイク・ドキュメンタリを志向してのことだろう。

うーむ、これって シャルル・ドゴールを暗殺しようとする殺し屋の物語 と相似形にあるよなあ。同書が1970年の出版だから、幾分かの影響があるだろうと推測してしまった。あ、フレデリック・フォーサイスも読んだことがなかった…。

閑話休題。上記のように感じたもうひとつの要因は、ケイパー(強奪)小説を思わせる徹底した準備が描写されること。アドルフ・ヒトラーが気まぐれに発した言葉を端緒に、首相誘拐の可能性を展く情報を入手した軍情報部のマックス・ラードル中佐が、その可能性を実現させるための仲間集めをするのが序盤。

彼らに協力するアイルランド独立を目指す闘士リーアム・デヴリンが、先遣された英国で隠密裏に下準備をするのが中盤ということで、「鷲が舞い降りる」のは文庫の本文594ページのうち423ページまで読み進めてからのこと。ちなみに着地の様子が描かれなかったのは本書でもっとも残念な部分。

現代の冒険小説と比べたら呆れるほどの展開の遅さだ。だが、繰り返しになるが本書は冒険小説ではないのだからこれでいい。本書は戦争という状況に否応なく押し流される人々の群像を描いた小説だと思うからだ。主要登場人物たちに共通した状況は、シュタイナ中佐の以下の科白に集約されている。


「(前略)おれたちはみんな、同じ暗い路地にいて、出口を探し求めているのだ」

(170ページ)

戦傷で余命いくばくもない作戦指揮者の独軍情報部のラードル中佐、ユダヤ人女性を助けたことで懲罰部隊送りにされていた独落下傘部隊長シュタイナ中佐、大英帝国に憎悪をたぎらせるボーア人の老婦人ジョウアナ・グレイなど、他にも描かれる人物たちの背負うものは重い。そして彼らが、失った家族、父や妻子を思う等身大の人物として描かれていることに本書の手柄があるのだ。


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貴志祐介:『ダーク・ゾーン』(祥伝社) [book]

ダークゾーン

ダークゾーン

  • 作者: 貴志祐介
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/02/11
  • メディア: 単行本

内容紹介
神の仕掛けか、悪魔の所業か。
地獄のバトルが今、始まる!
戦え。戦い続けろ。
1997年日本ホラー小説大賞、2005年日本推理作家協会賞長編賞、2008年日本SF大賞、2010年第1回山田風太郎賞 各賞撃破! エンターテインメント界の鬼才が贈る最新長編!

「覚えてないの? ここ、端島じゃない。こんな場所、ほかにないもの」 その名前に触発されて、いくつかの情景が意識に現れようとした。しかし、その映像はぐにゃりと歪み、闇の中に溶け去ってしまう。まるで、この島に関する記憶は、絶対に思い出してはいけない禁忌であるかのように。 「そうか……そうだった。俺も、たしかに、ここへ来たことがある」 長崎市の沖合にある、遺棄された海底炭坑の島──端島。コンクリートの護岸に囲まれて、建物が密集した独特の外観から、軍艦島という通称で知られている。だが、何のために、こんな島へ来たのかは、思い出せない。まして、なぜ、ここで戦わされているのかは、見当もつかなかった。(本文より)


悪の教典 』はいまだに購入していないのに本書を先んじて読了。やはりおもしろい。まさに巻置くあたわずのおもしろさだ。正直、取り立てて文章がすばらしいとかアイディアが斬新だというわけでもない。どちらかというとありもののプロットを上手にアレンジして破綻のない構成で読者に提供するという感じ。

本書で言えば、プロットは『 クリムゾンの迷宮とまったく一緒。記憶を失った男が見知らぬ土地に放り出され、そこで生死を賭けたサバイバルを繰り広げる。というもの。いや、ほんとにまったく一緒なんだよ。ところが、そこに著者がリスペクトしている山田風太郎の「忍法帖」モノのアレンジが加えられると、そこには読むのを止められない世界が現出するのだ。

感じたのは、著者の描く世界には著者しか描き得ない世界観があるということだと思う。その世界観が他の作家とどうちがうのか、と問われると即答できないのだけど。

ただ、言えそうなのはSF的なフェロモンがそこかしこにあること。『 新世界より 』がSFマガジンの新人賞に入選した作品を基にしていることは周知だろうが、世界を創造してからそこに登場人物たちを活躍させるというSF的なアプローチにそのおもしろさの要素があると思っている。そりゃ、当方がSF好きという贔屓目があるのだろうけど。

ある種の無茶苦茶な小説が読みたいという人にはお奨め。まじめな読者には向かないだろう。読み進めていくと造本の意図がわかるというのも洒落ている。これだから単行本を買うのがやめられない。


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orz [travel]

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