ちきりん:『ゆるく考えよう』(イーストプレス) [book]
これまでのエントリでも何回か申し述べてきたように、当方の趣味のひとつに貯金がある。いや、貯金は「郵便局や農協、漁協にお金を預けること」だから、正確には預金だね。で、この趣味のすごいのは、意味もなく貯めていることにある。もちろん、ちょっとした買物をするときの安心とか、将来に何かあったときの生活防衛的な意味合いはあるのだが、それは目的というよりは手段に近いような気がする。
じゃあ、たとえば持ち家を購入する気があるかといえば、まったくない、と言い切っておこう。生まれてから一度もしたことがない借金に対する恐怖感があるからだ。正確に言えばクレジットカードの使用は借入に近いのかもしれないが、それとて貸借対照表でいえば買掛金みたいなものと思っている。長期借入という固定負債を持つことは恐ろしくてできない。ましてローンで持ち家なんぞ持った日には、個人としての債務超過転落に間違いないではないか。
出版社紹介文より
月間100万PVを誇るブログ「Chikirinの日記」の筆者による「毎日を楽しく生きるための極意」
著者のブログ「Chikirinの日記」は、半年ほど前にRSSリーダに登録し愛読している。人が(少なくとも当方が)普段から感じているけれども言語化できない事象をわかりやすい言葉で指し示してくれるという痛快さがあるブログだ。
冒頭に申し上げたような長期の借入に対する漠然とした不安を、著者は「言葉」で固定してくれる。「そうだよな、30年ローンなんて、今の環境から冷静に考えればありえないもんな」という"腹落ち感"があるのだ。
さて、ブログを再編集した本書を通読すると、優れた知性に多くみられる「冷酷」さがあるので、人によっては好悪が分かれる場合があると思う。そこは、まずは著者のブログを読んで耐性を確認しておいてほしい。
ちなみに当方は本書の最終エピソード「よかった確認」が心に染み入りました。