『インセプション』 [movie]
原題:
Inception
監督・脚本:
クリストファー・ノーラン
製作:
エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮:
クリス・ブリガム
撮影:
ウォーリー・フィスター
美術:
ガイ・ヘンドリックス・ディアス
編集:
リー・スミス
音楽:
ハンス・ジマー
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、ディリープ・ラオ、キリアン・マーフィ、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン
製作国:
2010年アメリカ映画
上映時間:
148分
配給:
ワーナー・ブラザース映画
ストーリー
人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。
2時間28分の長丁場を飽かせない傑作。少しでも興味のある人はぜひご覧いただきたい。以上。
例によって、それだけというわけにもいかないので以下に蛇足を。 実は、プロット自体はケイパー(強奪)映画そのものといっていい。すなわち、あるものを奪うためにその道のプロフェッショナルたちが参集し知力・体力を振り絞るというもの。昔で言えば悪党パーカーシリーズみたいのものか。
本作で言えば、冒頭から強奪のシークエンスがあるのだが、それ自体は渡辺謙演ずるサイトーからの一種のテストであり、そのテストに合格したコブ(レオナルド・ディカプリオ)とそのパートナーであるアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)はさらに困難なミッションを依頼されて…と、その内容についてはご覧になって確認されると良いと思う。そう、そのミッションが強奪ではないところがユニークなのだ。
そして、他人の潜在意識に潜入するというコアとなるアイデアもまた、夢枕獏のサイコダイバーシリーズや映画で言えば『 ザ・セル 』あたりでも使用されているもので特段目新しいものではない。新しいのは、その潜在意識世界の在り方。どういえばいいのかね、潜在意識のなかで侵入者と被侵入者の意識が共有される、というような言い方か。しかも、その夢のなかでさらに夢をみ、さらにその夢のなかで…と階層を作ることができること。
しかも、階層が深くなっていく毎に現実の時間の進み方とギャップが生じるという決まり事があり、それがサスペンスを高めるという役割もある。現実世界の時間を含めると、実に6つの物語が同時進行するという迷宮世界。エレン・ペイジ演ずる設計士が"アリアドネ"という名前であることはそのあたりを示唆しているわけだ。
その他、各階層における映像表現(当方はホテル内無重力空間シーンが好き)や俳優陣の巧みな演技など、映画の日に1,000円で鑑賞したのは申し訳ないと思うほどデキがいい。人によってはややこしい話と思えるかもしれないので、よく睡眠を取ってクリアな頭脳で鑑賞するが吉です。