『海角七号/君想う、国境の南』 [dvd]
原題:
海角七號
監督・脚本:
ウェイ・ダーション
製作:
ウェイ・ダーション、ホァン・ジーミン、リン・ティエングイ、ルー・ジュンイー、フー・ジョングァン、ジャン・チャンディー
撮影:
チン・ディンチャン
音楽:
リュ・ションフェイ、ルオ・ジーイー
編集:
ライ・ホイジュエン、ニウナイ
出演:
ファン・イーチェン、田中千絵、中孝介、シノ・リン、レイチェル・リャン
製作国:
2008年台湾映画
上映時間:
130分
配給:
ザジフィルムズ、マグザム
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海外旅行にはほとんど興味がないが、台湾だけは行ってみたいと思うことがある。なにしろPCのマザーボードのほとんどが同国のメーカーのものだ。興味を持たざるをえない。近そうだということも、喫煙者としては魅力的だ。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
台湾の人気歌手、ファン・イーチェンと田中千絵共演による感動作。ミュージシャンの夢に破れ、郵便配達のバイトをしている青年・阿嘉は、ある日郵便物の中に60年前の“海角7号”宛の手紙を見付ける。そんな中、彼は中孝介のライブに駆り出され…
さて、本作は台湾で『タイタニック』に次ぐ興行成績を叩きだした作品。舞台となった恒春は台湾の最南端に位置し、本作のヒット後には観光地化したりしたそうだ。台湾映画といえば『 悲情城市 』くらいしか鑑賞したことはなかったが、一見、妙なタイトルに気が引かれ鑑賞することに。タイトルの海角七号とは住所のことで、直訳すれば"岬7号"くらいの感じだそうだ。 台北で夢破れ、郵便配達のアルバイトをしている主人公が思わず封を切ってしまった行先不明の手紙の宛先がそれだ。
物語は、その手紙の宛先人探しと地域興しのためのビーチライブで、前座の即席バンドのメンバーとなった人物たちの人間模様が並行して描かれる。当方は、どちらかといえばバンドの物語として鑑賞。主人公、台湾パイワン族の警察官、バイク修理工、地酒販売の営業マン、小学生、そして郵便配達員がメンバー。それぞれが良い味を出している。特に月琴を奏する郵便配達のおじいさんが実際に中国伝統楽器北管の国宝級奏者であることには驚いた。
この手の映画は、やはり終盤での本番演奏シーンがヤマ場で、その盛り上がり具合に成否があると思うのだが、本作では成功裏に終わっているといえる。メンバー全員に見せ場が与えられ重要な役割があるという真っ当な脚本だからだ。いや、正直ホロンときてしまったよ。
主人公の一人は日本人女性の田中千絵。ちなみに彼女の父は、「あなたのお名前なんてーの」のトニー谷じゃなくて、メイクアップアーティストのトニー・タナカだそうだ。いや、それはともかく、台湾が太平洋戦争時に日本統治下にあったことや、ラストの一曲が統治下時代のある唱歌であることとか、微妙に歴史的背景もあるが、当方には単純にバンドをテーマにした映画として愉しんだ。そこはかとなくお奨めしておきたい。
◎こちらのアーティストが本人役で出演