月村了衛:『機龍警察 自爆条項』(早川書房) [book]
内容(「BOOK」データベースより)
軍用有人兵器・機甲兵装の密輸事案を捜査する警視庁特捜部は、北アイルランドのテロ組織によるイギリス高官暗殺計画を察知した。だが特捜部には不可解な捜査中止命令が。国家を超える憎悪の闇は特捜部の契約する“傭兵”ライザ・ラードナー警部の、凄絶な過去につながっていた―組織内でもがく警察官たちの慟哭と死闘。圧倒的なスケールと迫真のリアリティで重厚に描く、話題の“至近未来”警察小説。
本書は先般のエントリで絶賛した『機龍警察』のシリーズ第二弾。第一作にあった軽妙な部分はなりを潜め、本書は重厚感あふれる作品となっているのが最大の特徴。その理由は、三人の部付警部の一人であるライザ・ラードナー警部の来歴が語られるから。アイルランドとロンドンを舞台にした彼女の個人史は、想像通り過酷なものだ。
ゆえに、第一作のようにサクサクと読める娯楽作品という面はスポイルされてしまった感は否めない。しかし、読み応えという面では見事と言っていい仕上がりになっている。今後は、同じ機龍兵搭乗員のユーリ・オズノフや姿の過去が語られていくのだろう。そして、もっとも謎多き人物である沖津特捜部長の物語もたのしみだ。
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