内田樹(選),高橋源一郎(選)『嘘みたいな本当の話』(イースト・プレス) [book]
嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト
- 作者:
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
泣いた、笑った、驚いた! 日本中から届いた149の実話たち。
[日本版]、とわざわざ書いてあるくらいだからもちろん海外版もあるのであって、それはすなわち米国版が本家である。本家はあのポール・オースターが"ラジオ番組のために全米から募り、精選した「普通の」人々の、ちょっと「普通でない」実話"というもの。その米国版を基に、内田・高橋両氏が編纂したのが本書というわけ。
そういう位置づけのものだからさくさく読めることには間違いない。なにしろ字数制限が1,000字だし、短いものだと1行で9文字なんてものもある。その内容とか特色については、本書の内田氏の序文で言い尽くされている感があるので当方がどうのこうの言う余地はない。
ひとつだけ言うことがあるとしたら、それは本書に収められた掌話群が非常に洗練されているということ。スマートなんだよね。そこが物足りないという印象は持ってしまった。正直に申し上げて、インパクトという部分では、日本最大の電子掲示板サイト「2ちゃんねる」における掌話のほうが上だ。例として、当方のgoogleブックマークにあるものの一部を列挙しておこう。
◆ほんわか2ちゃんねる 理想的親子像
http://honwaka2ch.blog90.fc2.com/blog-entry-6811.html
◆育児板拾い読み@2ch 兄「念のために、お年玉持ってきた。」
http://ikuzi2.blog73.fc2.com/blog-entry-11810.html
◆ほんわか2ちゃんねる うちの猫は漏れを自分の子供だと思ってるフシがある
http://honwaka2ch.blog90.fc2.com/blog-entry-3498.html
もちろん、嘘みたいな嘘の話なのかもしれないけれど、それは本書におけるエピソード群だって嘘っぱちの可能性はある。それでも、電子掲示板に書き込まれたこれらのエピソードには良い意味での泥臭さがあり当方には好もしい。
なんてことを言ってはいるが、もちろん本書も1,050円でこれだけ愉しく読めるのだから侮ってはならないと思う。透き間時間にのんびりと読んで、自分の好みのエピソードを見つけるという楽しみがある一冊として読んで損はないです。
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