山田順:『出版大崩壊』(文藝春秋) [book]
ここのところ読書量が減っている要因がつかめない。いや、ゲームなどをちょろちょろプレイしてしまっているというのはある。それでもね、月に三冊程度というのは惨憺たる有様だ。要するに気分の問題だろうから、いずれは回復するものと思ってはいるが。さて、下記をみると、そうはいっても当方はヘビーユーザーに位置づけられてしまうようだ。
◆日本の年齢階層別 読書人口 (寄稿:冬狐洞隆也氏):【 FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター
http://www.1book.co.jp/004012.html
まあ、購入冊数だけで言えば超ヘビーユーザーだから、出版業界への貢献度は高いといっていいだろう。読書メーターの積読冊数は146冊だ…orz
内容(「BOOK」データベースより)
著者は2010年5月、34年間勤めた出版社を退社し、これまで培ってきた人脈をネットワーク化して電子出版のビジネスに手を染めてみて。そうしていま言えることは、「電子出版がつくる未来」は幻想にすぎず、既存メディアのクビを絞めるだけだと思うようになった。
著者は、あのカッパの光文社を退職してフリーになった人。そのあたりについては下掲に詳しいと思う。
閑話休題。通読すると、前半部分の電子出版全般の動向やハードウェア(iPadやkindle)の普及に関する話題は既知の事柄が多く、この調子で続くのかなと思っていた。
ところが、後半からの「電子出版の収益構造」あたりから迫力が増してくる。というか、電子出版というのはそんなに儲からないのか、と驚く。もちろん、それらは既存の仕組みに乗っけてやろうとするから無理があるのだろうが。
全体的には「出版大崩壊」というタイトルと「電子出版」に対する考え方が有機的に結びついていないという印象は持ったものの、ところどころに鋭い指摘があるところはさすがと感じた。
で、実はそんなことよりも当方が驚いたのは著者のぶっちゃけ振りだ。たとえば「海賊版」に関する記述や読書する層について。
(前略)北京でも上海でも露店に行けば、正規版と並んで海賊版が堂々と売られている。
私も一消費者としてはその恩恵にあずかっているので書きづらいが、中国に行ったときに、書籍は別として、CDやDVDからPCソフトまで、海賊版以外は買ったことがない。
131ページ
リテラシーの高い人と低い人はいくらインタラクティブだの、ソーシャルメディアだと言おうと、コミュニケーションできない。誰が、自分より知能程度や能力が低いと思われる人間のフォロワーになるだろうか?
リコウはリコウと交信し、バカはバカと交信する。これが低度情報化社会で、ネットの本質だとしたら、そこで起こることは「悪貨は良貨を駆逐する」ということではないだろうか。
214ページ
なかなかどうして、言いたいことを言ってらっしゃる。うーむ、Twitterあたりでやったら炎上間違いなしだな。その点では、やはり出版というのは牧歌的なのだなと思った次第。
出版界はおっしゃる通り大崩壊の危機に立っていますね!ネットの古書店が価格、入手のし易さの面から大流行で、一般の書店は閑古鳥が鳴いています。全書物20数刊が7,8千円で手に入りますから・・・
新刊を企画するには、よほどのマーケットリサーチが必要だと思います。
by 般若坊 (2011-09-03 21:10)
出版業界は今、存亡の危機にあるといっていいと思います。ネットの古書店が大流行で、安さと手に入れやすさがその理由です。全書物20数刊が8000円ちょっとで手に入ります。云わば新古書がです。今後は新刊を企画する時は、徹底したマーケットリサーチが必要で、最小限の発行部数での採算計画が重要であると思います。
by 般若坊 (2011-09-03 21:19)