新井紀子:『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社) [book]
内容(「BOOK」データベースより)
人間の仕事を楽にするはずのコンピュータは、爆発的な処理能力の向上により人よりはるかに速く、安く仕事をこなし、私たちの職を脅かしつつある。絶対に人にしかできない仕事とは何か、そしていま私たちは何を学ぶべきか。
タイトルや梗概を読むと、なんともおどろおどろしく思えるが、内容はまったく違うものと言いきっておこう。著者の言いたいことは乱暴に要約すると「論理的思考能力を培うことが大切」ということ。数学というツールは、その思考のアウトプットを記述するのに使いやすい、ということを言いたいのだと思った。
それにしてもね、新書にありがちだった「売らんかなタイトル」がハードカヴァの書籍に、そして本書のように優れた内容の著作にまで浸食してくるとは。そりゃ、売れなければ読まれないということはあるにせよ、世の中には品格ってものがあるじゃないか、と思ってしまう。
閑話休題。 本書はコンピュータの特性やその能力の現時点での限界を記述しながら、数字で世界を語ることの歴史的・哲学的側面を丁寧に解説してくれる。そういう学問があるのか知らないけれど、数学史とか数学思想という趣のある作品。こういうタイトルだからと構えて読んでいたのだが、中高生でもするりと理解できるであろう文章や内容だから、当方のような数学オンチでも愉しく読めたのだった。
タグ:【読書】サイエンス
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