内田樹:『日本辺境論』(新潮社) [book]
内容(「BOOK」データベースより)
日本人とは辺境人である―「日本人とは何ものか」という大きな問いに、著者は正面から答える。常にどこかに「世界の中心」を必要とする辺境の民、それが日本人なのだ、と。日露戦争から太平洋戦争までは、辺境人が自らの特性を忘れた特異な時期だった。丸山眞男、澤庵、武士道から水戸黄門、養老孟司、マンガまで、多様なテーマを自在に扱いつつ日本を論じる。読み出したら止らない、日本論の金字塔、ここに誕生。
刊行後ほぼ半年近く経ってしまったので、いまさら感はあるが、ようやく入手し読了する。思ったのは、いつものもてなしのいい著者の作品とは違い、相当に難解であること。いや、冒頭のもてなしの良さにいつもの調子で読んでいった当方は、第二~三章の難解さにくじけそうになったよ。
そういう意味では、タイトルの「日本辺境論」自体は第一章で語り終えられており、第二~三章は日本人に関する哲学的論考ともいうべきものだと感じた。さらに第四章では、日本人と日本語論が語られていて、本書全体としてはいろいろな部品をくっつけてできあがった感がある。
もちろんおもしろくないわけはないので、数時間で読み切ってしまった。思ったのは、新書というプラットフォームで語り終えてしまうには壮大なテーマであったし、本書だけで完結させて欲しくないということ。もっと難解でかまわないから、もっと分厚い著者の日本人論を読んでみたい。
◎関連エントリ
・鷲田清一,内田樹:『大人のいない国』(プレジデント社)
・内田樹:『昭和のエートス』(バジリコ)
・橋本治,内田樹:『橋本治と内田樹』(筑摩書房)
・内田樹:『邪悪なものの鎮め方』(バジリコ)
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