瀬川深:『チューバはうたう―mit Tuba』(筑摩書房) [book]
『 ミサキラヂオ 』があまりにもすばらしかったのでさっそく本書を取り寄せ読了する。デビュー作を含む3作で構成された短編集。結論を申し述べると、本書もまた買って損はない作品集だ。
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[内容]
不格好で不器用な楽器チューバ。その音の響きに魅せられた一人の若い女性の生き方を描く第23回太宰治賞受賞作。表題作の他、渾身の書き下ろし二編を収録。
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表題の太宰賞受賞作は『ミサキラヂオ』から入った当方には少し違和感ありだった。女性の一人称なのだが、あまり女性を感じさせないというか、いささかマニアックな性格はむしろ男性にありがちかと。もちろん、おもしろく読んだからいいんだけど。
「飛天の瞳」は著者を思わせる旅行好きの大学生を主人公にした物語。彼が放浪先で偶然に鑑賞したバンドの曲は意外なものとつながっていた...というようなお話。こちらはストーリーを楽しむというか、ある種のミステリとして読んでもおもしろいかも。
最後の「百万の星の孤独」が『ミサキラヂオ』と同じ結構を持った作品だ。とある地方の閉山した鉱山町の小さなお祭りに、自作のプラネタリウムを映写する男がやってきた。それを観にやってきた人々のそれぞれの心情の変化を描いている。短編ながら群像劇として良くできており、良い話を読んだとホロリとさせてくれる。ちなみに、冒頭のお祭りを描くシーンに「チューバは~」の主人公が属するバンドが出演しているシーンがあります。
いずれも水準以上におもしろく、特に『ミサキ~』が気に入った人には「百万の~」がお奨め。今後も当方はこの著者を注目していきたい。
はじめまして!
以前、『チューバはうたう―mit Tuba』を読んだことがあったので、ついお邪魔してしまいました。
確かに、チューバに対するマニアックさは男性っぽいかも^^
それきり、この方の本を読んでいなかったので、『ミサキラヂオ』も読んでみようかな、と思いました。
by めいさん (2009-06-21 10:53)
めいさんへ
こちらこそはじめまして。
ちょっと文句めいていますけど「チューバは~」もおもしろかった。
もし「百万の星の孤独」が良い小説だと感じたなら
『ミサキラヂオ』もいいと思います。ぜひどうぞ。
nice!&CMTありがとうございます!
by 地蔵 (2009-06-22 19:56)
あんぱんち〜さんへ
nice!ありがとうございます。
by 地蔵 (2009-06-22 19:57)
新作も愛すべきユニークさに溢れてる〜
瀬川深さんの最新作『ゲノムの国の恋人』を読みました。
不思議な異国の描写やキャラクターの魅力がよくって、なぜか最後まで読み進めてしまいました。
birthday-energy.co.jp/
ってサイトは瀬川深さんの本質にまで踏み込んでましたよ。宿命の特徴が、非現実的、とか。広末涼子の再婚相手となったCandle JUNEと同一生年月日なんだそうな。見た目は全く違うのね〜人生いろいろだから、か。
by ゆっぴー (2013-11-10 02:08)