東川篤哉:『館島』(東京創元社) [book]
はてさて、この『館島』ってなんて読めばいいんだろう。素直に「やかたしま」か、それとも舞台になる島が「横島(よこしま)」だから洒落で「たてしま」とでも読むんだろうか。謎。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
巨大や螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘にふたたび事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致(!)で描いた意欲作。
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ってことで、いわゆる館モノだ。当方はそういうのってもう古い、と思うタイプだがどうだろう。結局、その館にハードウェア面での仕掛けがあって、という結末になりがちだから。勘のいい人は本作もその範疇に入ると容易に推測できる。あとは、その館にどれだけ驚くべきアイデアが詰め込まれているか、ということにかかっている。そのアイデアは当方としては残念ながら「?」だった。
とはいうものの、つまらなかったわけではない。たとえば、なぜ瀬戸内海が舞台なのか、とかなぜこの時代設定なのか、という点が最後にかっちり嵌るおもしろさがある。ちょっとすっとぼけた登場人物たちの行動や言動も楽しく文庫本819円(税込み)は充分に楽しめる。
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