道尾秀介:『向日葵の咲かない夏』(新潮社) [book]
ご存じの方も多いだろうが、かつて単行本で文藝春秋より出ていたスティーブン・キングの『ミザリー』は、内容もおもしろかったが装丁も工夫が凝らされていて、カバー(文庫版と同じ装丁)を外すと主人公のポール・シェルダンの作品『ミザリーの生還』の装丁になっていた。文庫本ではなかなかできない洒落た装丁だ。
なんでこんなことを言い出したかというと、今作もカバーを外すと作品の内容に関わるある模様が印刷されていること。たまたま外してみたところの発見だ。これを書くにあたり確認しようとしたが、驚いたことに既にどこかに行ってしまっている。整理が下手な自覚はあるが、本も多すぎ。部屋が埋まってきたので本棚を買うことにしよう。
閑話休題。帯やネットでの作品紹介を読むと、小学生の少年と妹のひと夏の冒険というような印象を受け期待して手に取る。どっこい、ジャンルとしてはホラーサスペンスとでもいうべき内容で、主人公の置かれている立場や題材を含め著者の作品では読み進めるのにもっとも苦労した。
というか、いろいろな意味で残酷な部分のある小説なので正直なところ読むのをやめようかと思った。ラストも実際にはどうなったのか解釈が難しい。読解力と想像力を求められる、読む人を選ぶ本と感じた。
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